あなたの「プライド」のために叱ってはいけない
部下がミスをしたときに、あなたは叱ります。「何をやっているんだ!」「何回言ったらわかるんだ!」そう言われた部下は「すみません。次から気をつけます!」と言うでしょうが、それだけで終わってしまいます。
多くの上司は、部下を凹ませて反省させれば、叱る目的を果たしたと思っています。しかし、これでは目の前に気落ちした部下がいるだけで何も変わっていません。
叱る目的は、部下の行動をゴールに向けた相応しい行動に変えることです。ゴールを達成するためには、あなたの「プライド」のために「ごめんなさい」と言わせるような叱り方をしてはいけません。「ゴールを達成」するための行動を部下が起こすように叱るのです。
忘れないで欲しいのは、あなたの本当にやりたいことは何なのかを意識することです。それは、あなたの望む結果を手に入れることです。そのために部下を動かすのです。もし叱るときに迷ったら「自分のやりたいことは何なのか?」と自分に問いかけ、「自分のプライド」は「部下を動かしゴールを達成する」ことだと思いだしてください。
部下のできているところを真っ先に認めよう
私は建物を造る仕事をしていました。建物の完成前には、設計図通りにできているかを施主さんに検査してもらわなければなりません。
当時、施主さんの検査1週間前に、担当者に頼んだ検査書類の進捗確認をしました。この時点で100%に近いデキを期待していたのですが、完成には遠いまだ70%のデキでした。
昔の私なら「なんで残りの30%ができていないんだ」と叱責したことでしょう。でも、そのときの私は「70%までできたんだ。お疲れさま!」と声をかけることができました。
70%という結果を認めてあげられたのは、私自身が最も大切なことに気づいていたからです。それは仕事を終わらせることです。そのためには私は担当者の彼を動かさなければなりませんでした。
彼も任された仕事が100%できていないことを自覚していました。だから「残りの30%をどうすればいいだろうか?」という私の問いかけにも、前向きに意見をだしてくれました。そして、残りの仕事を終わらせるために力を尽くしてくれました。