【QOLの格差】住む場所の選択肢が広がる

テレワークをやってみたら、案外問題なくできたし、これからもやれそう。あるいは勤務先がテレワークの本格普及に踏み切った。という状況の人もいると思います。

そうなると、通勤の必要がなく、満員電車に揺られる必要がなくなります。顧客と会わない日はスーツを着なくてもいい。これはストレスの一つから解放されることを意味します。

性格的な違いもあるかもしれませんが、通勤がなく服装も自由というのは本当にラクです。

次に、通勤がなければ住む場所の選択肢が広がり、たとえば故郷へのUターンや地方への移住も可能です。

都市部や駅近に縛られなければ、家賃や住宅ローンの負担が減るといったメリットもあります。

山が好きなら山に、釣りが好きなら川や海沿いに、サーフィンが好きなら波のある浜辺近くに住んでもいい。畑を借りて家庭菜園に挑戦し、半自給自足といった生活も可能です。

これは好きな人にはたまらないと思います。もしかしたら、「庭付き一戸建て」から「畑付き一戸建て」が価値を持つようになるかもしれません。

新しい出会いの機会は減ると思いますが、ある程度の年齢になれば人付き合いは少ないほうがラクですし、いまはSNSでもつながれますから、さほど不便はないでしょう。

そう考えると、自分の理想的な生活を手に入れられる人とそうでない人との間に、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)、つまり人生の満足度にも格差が生まれる可能性があります。

ワクチンが普及しても元には戻らない

ワクチンが開発・普及し、仮にコロナの問題が過ぎ去ったとしても、ニュー・ノーマルと呼ばれる新しい生活様式が定着すれば、その影響は長引きます。

また、感染症だけではなく、首都直下型地震や南海トラフ地震、台風やゲリラ豪雨による浸水・河川の氾濫など、危機的状況は再びやってくるでしょう。

資本主義社会では、そうした事象によって格差は拡大します。もちろん他人と比べることに意味はありませんが、不利な状況に陥るのを避けるために、自分はいま何をすべきか、そしてどのような人生にすればもっと楽しくなるか、考え直すよい機会かもしれません。

写真=iStock.com

午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
米国公認会計士

1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、コンビニエンスストアチェーンを経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。IT・情報通信・流通業などの経営戦略立案および企業変革プロジェクトに従事。本業のかたわら不動産投資を開始、独立後に株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズ、株式会社エデュビジョンを設立し、不動産投資コンサルティング事業、ビジネスマッチング事業、教育事業などを手掛ける。現在は起業家、個人投資家、ビジネス書作家、講演家として活動している。著書に『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)、『決定版 年収1億を稼ぐ人、年収300万で終わる人』(Gakken)、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)、『お金の才能』『お金の壁の乗り越え方 50歳から人生を大逆転させる』(かんき出版)など。