オフィスで“模擬在宅ワーク”トレー二ングを実施

【白河】本当に早かったですね。なぜ緊急事態宣言直後に、こんなにスムーズに移行できたのでしょうか。

【西浦】当社では緊急事態宣言に先立つ2月ごろから、全社員がリモートできるよう準備をしてまいりました。まずはラップトップやWi-Fiルーターなどを手配し、社員に貸し出せるようにしました。また2月下旬には、オフィス内に模擬的に在宅勤務環境を設けてトレーニングを実施しました。その他、電話対応の執務環境を整えるためにモニターや机、椅子といった備品を購入する社員に対しては、負担を軽減できるよう定額の補助金をだす取組みも行いました。

【白河】かなり前から緊急対応はされてきたので、今回の危機にも間に合ったし、トレーニングを実施する余裕すらあったということですね。在宅ではずっと座っていると椅子がつらいといった支障もありますから、そういった点に対する配慮も助かりますね。本社がスイスだから、社員の人権を守る、社員の安全を確保するという意識が強いのでしょうか。

【西浦】そうですね。まずは社員の安全と健康を守ることが大切だというのは、舵を切った第一の理由です。二番目は、やはり地域社員の一員として感染拡大防止に協力しなければならない。ただ、どうしても出社しなければできない業務もありますので、出社した社員に対しては、特別手当を支給し、昼食の手配や通勤時のタクシー利用も推奨しました。マイカーで通勤する社員には駐車場代を負担しました。

【白河】それは素晴らしいですね。出社に手当てがあるところはそんなにありませんよね。

空いているスーパーバイザーを可視化する実験中

【白河】今回の在宅勤務で、さまざまな知見がたまったと思いますが、よかったこと、悪かったこと、また見えてきた課題を教えてください。

【西浦】もちろん、何もかもうまくいったわけではありません。もともとコールセンターには、困りごとをすぐに相談できるスーパーバイザーがいますが、在宅勤務ではスーパーバイザーがすぐにコミュニケーションをとれる距離にいませんから、お客様への回答をお待たせすることがありました。また在宅だと一日じゅう一人で仕事をしていますから、孤独感も生まれやすい。そういったメンタルケアの必要性も感じました。

【白河】クレームなど難易度の高いことがあった場合、在宅スタッフはどうやってスーパーバイザーに助けを求めるのでしょうか。

【西浦】現状はスーパーバイザーに電話を転送したり、チャットでやりとりしたりしながら、対応しています。ただ、スーパーバイザーが1人に対して、スタッフが5、6人いますので、そうなると、どのスーパーバイザーが空いているのか、確認が取りづらく、ストレスを感じるケースも見受けられました。そこで、空いているスーパーバイザーを可視化できるシステムを導入して、テストしているところです。

【白河】メンタルのサポートはどのようにされていますか。

【西浦】朝礼の際に業務連絡だけでなく、カジュアルな話をしたり、オンラインコーヒーブレークを取り入れて、みんなで一息ついたりと、いろいろ工夫しています。

【白河】確かに会社のみんなが、ざっくばらんに話せる時間というのは大切ですよね。