かっこつけずに、素直に書こう

一筆箋を書くのに、ノウハウは必要ありません。まず、相手の顔を思い浮かべます。

そして、頭の中に浮かんだ言葉を、そのまますなおに書く。それで十分です。

臼井由妃『心が通じる ひと言添える作法』(あさ出版)
臼井由妃『心が通じる ひと言添える作法』(あさ出版)

たとえば、親しい方に日ごろ抱いている「感謝の気持ち」を伝えたいと思ったならば、相手の顔を思い浮かべ、頭の中に浮かんできた感謝の言葉を思いつくまま一筆箋に書いてしまうのです。

「せっかく書くのだから、いいフレーズを」と考え、かっこつけた言い回しを使いたくなってしまうかもしれません。でもここは、すなおに、言葉遣いの良し悪しなどはいっさい考えず、ただそのまま書いてみましょう。

大事なのは、相手に伝わること。かっこいい言葉はいらないのです。

書き終えたら、一度、声に出して読みあげてください。ひと息で読むのがつらい、「ちょっと長いな」と思うところは、何カ所かに分けるか、削ります。

シンプルでコンパクトにまとめよう

やさしくて思いやりがあっていつも弱気な私を励ましてくれる○○さんに、本当は感謝しているのにこれまで何にも言えなかったけれど、「ありがとう」

読みづらいですよね。

何が言いたいのか、だんだんわからなくなってしまいます。「~くて」「~って」「~のに」「~けれど」と、接続語を多用しているのが原因です。

これを、二つに分割してみましょう。

訂正例1
やさしくて思いやりがあっていつも弱気な私を励ましてくれる○○さん。
本当は感謝しているのにこれまで何も言えなかったけれど、「ありがとう」

だいぶ読みやすくなりましたが、まだ、息苦しい感じが残りますね。それぞれの文から、もっとも伝えたいことだけを絞り込みましょう。

訂正例2
思いやりがあっていつも弱気な私を励ましてくれる○○さん。
感謝しています。「ありがとう」
訂正例3
弱気な私をいつも励ましてくれる○○さん。
「ありがとう」。
心から感謝しています。

どうでしょうか。

送り手の感謝の気持ちが真摯に伝わってくる、スッキリした文章になりましたよね。

文章はひと息で読める程度に短くすることで、わかりやすくなります。シンプルでコンパクトな文章であればあるほど、相手の心にストレートに届きます。

一筆箋にはあなたが伝えたいことを書いてください。

写真=iStock.com

臼井 由妃(うすい・ゆき)
エッセイスト、ビジネス作家、経営者、講演家

33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ専業主婦から社長に転身。独自のビジネス手法で成功を収め、多額の負債を抱えていた会社を優良企業へと育てる。その手腕がさまざまなメディアで紹介され、日本テレビ系で放送された人気番組「マネーの虎」に出演するなど、好評を博す。著書も多く、『仕事・人生・人間関係がうまくいく「すなお」の法則』『デキる女は仕上げがうまい』(ともにあさ出版)『やりたいことを全部やる! 時間術』(日経ビジネス人文庫)等。