伝えたいことを一つに絞ることがコツ
文章の量が少なくても形になり、短い文章だからこそ伝えたいことが際立つ。
これが一筆箋の特徴であり、魅力です。この性質を最大限に活用するには、伝えたいことを一つに絞るといいでしょう。
一筆箋を使うときはできる限り1枚にまとめるのが理想です。3~5行しかないため、書くことができる文字数は必然的に限られますから、思い切りが大切です。
たとえば、知人の息子さんに就職祝いの品を贈るにあたって、言葉を添えるとしましょう。かしこまって書くと、次のように文字数が増えてしまいます。
春光麗らかな季節を迎え、○○様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
おかげさまで私ども一同、何事もなく暮らしております。
さて、この度はご子息△△様のご就職、誠におめでとうございます。
△△様のお喜びもさることながら、○○様もさぞかしご安堵のことでしょう。
☆☆会社にご就職できましたのは、ご本人様のご努力の賜物であると感服しております。(以下略)
就職祝いの手紙だとはわかりますが、読み進めないと全貌(書き手の想い)が見えません。これでは読むほうも疲れてしまいます。
相手を思い、手間や時間、神経を使って一生懸命に書いたのに伝わらないとしたら、悲しいですよね。
では、次はいかがでしょうか。
訂正例1 知人へねぎらいの言葉を伝える
△△さん(様)の就職にあたり心からのお祝いを贈ります。
これでひと安心ですね。
訂正例2 息子さんご本人へお祝いを伝える
社会人としてのスタートのお祝いに、心ばかりのお祝いを贈ります。
身体に気をつけて、がんばってくださいね。
相手に伝わることが大事
一つめは、知人へのねぎらいの言葉を伝えること、二つめは就職が決まった息子さんご本人へお祝いを伝えることに絞って書いています。
シンプルで読みやすいうえに、贈り主のお祝いの気持ちが伝わってきませんか。不快な気持ちになった方はいないでしょう。
また、書くほうとしても文章の流れや表現方法に気を使うこともないですから、難しくないですよね。
伝えたいことは一つに絞る。
そのほうが、インパクトが強くなり、相手の心にしっかりと届くのです。