男性には、2割増しのお世辞を言ってあげる

さて、男性がおバカさんだということが理解できたところで、男性の扱い方についても考えてみましょう。

男性が、自分自身に対してかなりの“自惚れ”をしていることはすでに指摘しました(細かいことをいうと、この傾向を心理学では「過剰確信効果」とか「平均点以上効果」などと呼んでいます)。

基本的に男性は自惚れ屋さんですから、もしお世辞を言ってあげるのであれば、「ちょっと大げさかな?」と思うくらいのレベルがちょうどいいでしょう。小さなお世辞や、微妙なお世辞だと、気づいてもらえない可能性があります。お世辞を言って男性に喜んでもらいたいなら、2割くらい大げさにやらないとダメ、というルールを覚えておきましょう。男性の自己評価はそれくらい高いのです。

たとえば、42歳のエンジニアの男性に、「○○さんって、若く見えますよね。40歳くらいに見えます」とお世辞を言ってあげたとしましょうか。たしかにお世辞ではあるものの、「たった2歳しか若く見えないのかよ!!」と逆に憤慨されてしまう危険性もないわけではありません。

こんなときには、もう、どーんとお世辞の大盤振る舞いをしてあげて、「○○さんって、若いですよね? 32、33歳くらいですか?」と言ってあげたほうがいいでしょう。男性は、それくらい自惚れているはずですから、「ちょうどいい感じ」に受け止めてもらえるはずです。

お世辞の注意点2つ

ただ、お世辞には2つ注意点があります。一つは誰かれ構わずお世辞を言っていいというわけではないということ。どうしても友好的に仕事を進めたい相手や尊敬している相手、企画を通したい相手などを選んで戦略的に賢く、が基本です。そうでなければ、自惚れ傾向のある男性たちはますます「俺って天才」状態になってしまいます。

もう一つが褒める内容です。たとえば「深夜まで働いてすごい熱意ですね!」などと言ってしまうと職場の長時間労働が助長されかねません。お世辞を言う内容は、そのお世辞によって強化されても問題がない点を選びましょう。

【参考文献】
・Lustman, M., Wiesenthal, D. L., & Flett, G. L. 2010 Narcissism and aggressive driving: Is an inflated view of the self a road hazard? Journal of Applied Social Psychology ,40, 1423-1449.
・Barber, B. M., & Odean, T. 2001 Boys will be boys: Gender, overconfidence, and common stock investment. Quarterly Journal of Economics ,Feb, 261-292.
・Fletcher, G. J. O., Kerr, P. S. G., Li, N. P., & Valentine, K. A. 2014 Predicting romantic interest and decisions in the very early stages of mate selection: Standards, accuracy, and sex differences. Personality and Social Psychology Bulletin ,40, 540-550.

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)、『羨んだり、妬んだりしなくてよくなる アドラー心理の言葉』(ぱる出版)など多数。その数は250冊を超える。