超高齢の場合は陣痛が来ないことも

40代後半以降の超高齢出産では、なかなか陣痛が来ないことも多いと言います。

「予定日を過ぎても陣痛が起きない、さらに陣痛誘発剤を使っても、子宮口がなかなか開かないことも多くなります。超高齢の妊婦さんの場合は、妊娠後期の経過を見ながら、さまざまなリスクを回避するために予定帝王切開にすることも多いです。

ただ、子宮口が開くか、分娩が進むかどうかは、年齢だけでなく、個人差も大きいものです。妊娠中の過ごし方やケアで子宮口は極端にやわらかくできるものでもない。心配しすぎず、『そのときはそのとき!』と腹をくくることも大事かな、と思います」

高齢での出産はハイリスクなのは事実。一方で、仕事やプライベートでさまざまな経験を積んできたからこそ、精神的な余裕をもって妊娠・出産・育児を楽しめる、というメリットもあるでしょう。

「高齢出産のリスクを事前に知っておくことはとても大切だと思いますが、実際にはすんなりと出産される方がほとんどです。リスクの話をすると、怖い事ばかりだと思わせてしまうかもしれませんが、現代は35歳以上の妊婦さんは決して珍しくありません。みなさんこれまで築いてきたキャリアやライフスタイルを生かして楽しくマタニティーライフを送っていらっしゃり、その姿が眩しいことすらありますよ。しっかり検診を受け、医師の指示を必ず守るようにしていれば、高齢出産だからといって恐れることはありません。心配しすぎず、安全で幸せな出産、そしてその後の育児にむけての体力づくりと心構えを行うなど、準備をしていけるといいですね」

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月花 瑶子(げっか・ようこ)
日本産科婦人科学会産婦人科専門医

東京・新宿にある不妊治療専門クリニック杉山産婦人科に勤務。 産婦人科領域で事業展開するヘルスアンドライツのメディカルアドバイザーを務める。 共著書に『やさしく正しい 妊活大事典』(プレジデント社)、 監修メディアに「性をただしく知るメディア Coyoli」がある。