やっている人は? やろうと思っていた人は?

皆さんの中には、すでにiDeCoをはじめている人、あるいは、はじめようと考えている人もいるだろう。

机の上いっぱいに広げられた請求書とスマホアプリを見つめる女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Ziga Plahutar)

今の時期、1つ、念頭においてほしいのが、「iDeCoは原則、60歳まで引き出せない」ということだ。

新型コロナの流行により、自営業や個人事業主、契約社員などとして働いている人の中には、収入ダウンに見舞われている人もいる。会社員でも、当面の給料は約束されているものの、先々が不安、ボーナスは期待できない、と思う人もいる。そうした収入不安があるときに、60歳以降まで引き出せないiDeCoにお金を積み立てていいのだろうか。

実はiDeCoはいつでも積み立てを休止できるし、年に1度は掛金を減額することもできる。休止や減額をすべきか、考えていきたい。

まずは貯蓄をチェック

まずは貯蓄をチェックしよう。

お金の預け先を考える際には、病気やけがに備えて一定の額を確保し、それを上回る分を投資に回すのがセオリーである。

私は、通常、「少なくとも生活費の半年分、できれば生活費の1年分を確保する」ということを基本としてアドバイスしている。病気になったり、仕事を失ったりするようなことがあっても、半年暮らせるだけのお金があれば、その間に生活を立て直すことができると考えられるからだ。1年分の生活費があれば、さらに安心感が増す。

教育費など、使うことが決まっているお金は分けて考え、あくまで「もしものためのお金として、少なくとも生活費の半年分、できれば生活費の1年分」だ。

しかしそれは、「平時でのこと」。

平時であれば、経済的なピンチに見舞われても、自分でなんとかできる道がある。ところが、感染病の流行といった非常時にはそうはいかない。人材の需要が減る、転職活動ができない、病気になっても治療がうまく進まないなど、自身の努力ではどうにもならない事態になることも予想される。そのため、現在のような非常時には、手元資金を平時より厚めに確保しておくのが望ましい。平時は「少なくとも生活費の半年分、できれば生活費の1年分」なのに対し、非常時は「少なくとも生活費の1年分」を目安にしてはどうか。