相手の心に届かない話し方の特徴

また、電話のみならず普段の会話でも気をつけたいのが、相手の語尾をかき消してしまうような話し方。いわゆる相手の発言に“かぶせる”話し方です。

昨年10月のマナー配信「間の取り方」でもお伝えしましたが、相手の発言を最後まで聞かずに自分の意見を話し始めてしまうのは、ときに威圧的で、かつ否定的な印象に。そのときは滞りなく会話が進んだとしても、相手側にはどこか不快感が残ってしまいます。

「会話は言葉のキャッチボール」とはよくいいますが、これでは投げられたボールを自分の前でたたき落とすようなもの。それをされた人は決していい気持ちはしませんし、なによりその数秒を縮めることにどれほどの意味があるでしょうか。むしろデメリットとリスクのほうが大きいかもしれません。

相手の発言にかぶせるような話し方は、悪気はなくとも一種の癖になっている場合もあり、自分では認識するのが難しかったりもします。リモートワークによって急増したオンライン会議などでは、とくに発言が渋滞しやすいので注意が必要! 部下をはじめ、周りの人にそのような態度を取っていないかを今一度、振り返ってみましょう。

意識の向けどころが動作に出る

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※写真はイメージです(写真=iStock.com/seb_ra)

意外と気になる人が多いとされるのが、書類を受け渡しする際の振る舞いについて。あなたは部下が渡してきた書類を目線すら合わせず、まるで奪い取るようにパッと取り上げてしまってはいないでしょうか。きっと忙しさのあまりほかのことに意識が向いていて、わざとやっている人などほとんどいないと思いますが……言わずもがな、これも立派なマナー違反。先ほどと同じように当然悪気はなかったとしても、相手からしたらなんだかただの小間使いにされたような、いうなれば存在を無視されているような気にすらなるものです。

時と場合、そして間柄によっては必ずしも両手で受け取る必要はありませんが、どんなに急がしくてもあえてそこで時短するのはナンセンスですし、ましてや書類を乱暴に受け取ることで多忙アピールをするなんていうのは言語道断! 管理職にふさわしく、感情に流されることのない行動は信頼性にもつながる大切な部分です。

仕事が早い人は普段からの行動が素早く、決断力に優れていますが、そういう人ほど注意したいせっかちな言動。同じ仕事の成果を上げられたとしても、細やかな振る舞いによってあなたが“迅速で仕事ができる人”か、それとも“いつも慌ただしくせわしない人”か、印象が分かれます。

エレガントな人ほど動作がやわらかくゆっくりしているものです。常に落ち着きのある振る舞いができるように、クライアントの前だけで意識するのではなく、普段からの心がけが大切です。

乙部 アン(おとべ・あん)
フリーエディター/執筆家

新ファッションウェブマガジン「LIV,」女性ファッション誌のフリーエディターをしながら執筆家としても活動、いくつかの連載を掛け持ちする。アメブロやnoteなどのブログでは、大人の女性に役立つファッション・仕事・サステナブル・ライフスタイル・独自の人生哲学を発信。