二次関数を使って予測を立てることができる
【西成先生】そうですね。数学的に言うと、変数x同士の掛け算が含まれると必ず曲線になるんです。それが一次関数との違い。世の中のほとんどの事象は、一定のペースでは変化しません。そんなとき、二次関数を使って予測を立てることができるんです。
【大山さん】一定のペースでなくても予測できるなんて!
【西成先生】では、ここ最近、業績が悪くなってきたC社の売り上げを予測してみましょうか。x月の売り上げをy円とします。最も業績がよかった1月は500万円の売り上げがありましたが、4月は200万円でした。このように、会社の過去の売り上げデータがある場合、わかっている情報を二次関数の公式にあてはめて計算します。
【大山さん】公式は一般形のy=ax²+bx+cと、標準形のy=a(x-p)²+qの2つありますね。どちらかを使うのですか?
【西成先生】そうそう! ここでこの2つの式の違いについて説明しておきますと、同じ二次関数の式ですが、標準形ではxがpだけ右にずれているということを表しています。
【大山さん】むむ……右にずれている?
【西成先生】グラフ(黒板)を見ながら説明したほうがわかりやすいですね。二次関数の放物線には頂点がありますが、いつも赤い線のように0を通るわけではありません。
【大山さん】黄色のグラフは左に1つずれていますね。だから、2x²ではなく、2(x+1)²になっている!
【西成先生】今度は上下移動です。青い放物線は上に1つずれていますね。これは変数がからまない数字で示します。つまり標準形のy=a(x-p)²+qのqです。
【大山さん】では、pとqは、それぞれ放物線の頂点のx座標とy座標ということですね!
【西成先生】そのとおり! 二次関数の一般形の式は標準形に変形できます。しかしこれは高校数学の範囲なので、今回は省きます。さて、問題にもどると……。
【大山さん】最高額を記録した1月の売り上げは頂点になりますよね。あと、4月の売り上げもわかっているから、「頂点と1点の座標がわかっている場合」なので……標準形のy=a(x-p)²+qを使います!
【西成先生】つまり頂点の座標は(1,500)になります。標準形の式に代入するとき、1をp、500をqに入れるので、y=a(x-1)²+500。これが黒板の①の状態ですね。
【大山さん】では次に、ほかの1点の座標、つまり4月の座標(4,200)を①の式のyとxに代入すればいいわけですね。
【西成先生】そうです。200=a(4-1)²+500となる。計算すると200=9a+500で、a=-1─030ということがわかりました。a=-1─030を①に代入すると、y=-1─03(0x-1)²+500です。
【大山さん】この式のxに月を入れれば売り上げが予測できるというわけですね。たとえば7月は……マイナス700万円!
【西成先生】あくまで予測ですが、対策を考えねばなりませんね。ほかの場合の計算方法も黒板にあるので、練習を!