普段は何日おきに買っているかを把握する
【中野】こうした消費者心理を考えると、どのような対応方法が効果的だと考えられるでしょうか?
【牛窪】中野先生もおっしゃっていたように、やはりデータや「可視化」が大事だと思います。
私もそうなんですが、トイレットペーパーを通常どれくらいの頻度で買っているか、意外とわかっていないですよね。普段から、どれくらいあれば足りるのかわからない。わからないと、漠然とした不安に突き動かされてしまい、「ちょっと多めに買っておこう」となります。
例えば家計簿アプリの「Zaim(ザイム)」には「消耗品購入タイマー」というのがあって、過去の家計簿データを分析して、トイレットペーパーやティッシュペーパー、ハンドソープなどの消耗品を何日おきに買っているか、次はいつごろ買えばいいかを教えてくれます。自分の購入サイクルがわかっていれば、安心できるかもしれません。
【中野】このアプリはいいですね! 私も導入したくなりました。日常的に使う消耗品だと特に、「損失を回避したい」「なくなったら困る」という不安が働きますけど、どれくらい使っているかわかれば安心感も高まりますね。自分の必要量や、必要になるタイミングを「見える化」するツールをうまく使いたいですね。
構成=大井明子 撮影=プレジデントウーマン編集部
立教大学大学院(MBA)客員教授。同志社大学・ビッグデータ解析研究会メンバー。内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』『独身王子に聞け!』(ともに日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)ほか多数。これらを機に数々の流行語を広める。NHK総合『サタデーウオッチ9』ほか、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。
東日本国際大学特任教授。京都芸術大学客員教授。1975年、東京都生まれ。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『サイコパス』『不倫』、ヤマザキマリとの共著『パンデミックの文明論』(すべて文春新書)、『ペルソナ』、熊澤弘との共著『脳から見るミュージアム』(ともに講談社現代新書)、『脳の闇』(新潮新書)などがある。