「体調は良くないけど、仕事が溜まっているからとりあえず会社へ行こう」と頑張って出社したものの、頭は働かないし、仕事の能率はちっともあがらない――そんな経験はないだろうか。体調や気分がすぐれないときは、無理せず休むのも賢い働き方。それが健康のためであり、生産性低下を防ぐことにもつながる。
疲れ気味の若い女性が目頭を押さえている
※写真はイメージです(写真=iStock.com/fizkes)

体調不良なのに出社する“プレゼンティイズム”の問題

厚生労働省が数年前に行った調査では、メンタルヘルスの不調で会社を1カ月以上休んでいる従業員の割合は、平均で全従業員の約0.4%、大企業に限定すると0.8%という数値が発表されています。

しかし、問題となるのは、休職者だけではありません。その周りには「不調だけど、休職するほどじゃない」と頑張って出勤している人たちがいます。健康ではないときには高い成果は出せないものです。肉体的にも精神的にも、健康を害すれば仕事のパフォーマンスは低下します。

5000人の労働者を対象に実施したアンケート調査では、健康上の問題が仕事にまったく影響しないという人は2割ほどしかいませんでした。残りの8割の人は、健康上の理由で本来の生産性を下回ったパフォーマンスしかできていないと答えています。

このように、体調不良やメンタルヘルスの不調が原因でパフォーマンスが下がっているにもかかわらず、出勤している状態を「プレゼンティイズム(presenteeism)」と呼びます。プレゼント(present)は「出勤」の意味ですから、体調不良などで従業員が欠勤する「アブセンティイズム(absenteeism)」と対をなす概念です。