実はやめた方がいい「朝イチのメールチェック」

朝会社に着いたら、まずメールをチェックするという人は多いと思います。

生体リズムが整っていると、起床から2時間後から4時間後が、最も仕事がはかどる時間帯です。その時間帯を、メールチェックに費やしてしまうのはもったいないので、出勤したらまず、今日の仕事の中で最も重要な作業に手をつけてみましょう。

菅原洋平『「疲れない」が毎日続く! 休み方マネジメント』(河出書房新社)

生体リズムのスタートが揃っていると、起床2時間後には決断力が、起床3時間後には記憶力が、起床4時間後には脳波活動が活発で創造性が高まります。

このリズムをうまく活かすためには、朝出勤してから仕事を始めるときの動作から見直さなければなりません。

最もわかりやすい例が、朝イチのメールチェックをやめることです。

私が、企業で社員の方々に「生体リズムをうまく使うために朝イチのメールチェックをやめてみましょう」と提案すると、たいてい「それは困る」と言われます。「クライアントから急なメールが来ているかもしれないし、昨日仕事を終えたところから時間が経っているので、その間に進展していることもあるはず。チェックが遅れたら仕事の組み立てができなくなってしまう」という意見です。

これは当然の意見ですが、本当に朝イチのメールチェックが必要なのか、検証したわけではありません。

朝イチのメールチェックをやめる“実験”をしてみた

そこで、まずは実験をしてみることにしました。ご協力いただけたある部門だけに限定して、朝一番にメールを見ることをやめてもらったのです。

その結果、社員の方々は困らなかったそうです。

「本当に緊急なことはどうせ電話がかかってくるので、メールでそこまで緊急を知らされることはもともとなかった」

「メールをチェックして仕事をこなしているつもりになっていたけど、よく考えたら仕事量が増えているわけではない。同じ仕事量ならば、PCを使っている分早く終わるはずなのに、そうなっていなかったということは、やはり無駄な作業をしていたのだと思う」

社員の方々からは、こんな感想が聞かれました。

朝イチのメールチェックをやめるには、かなり勇気がいります。いつも通りの動作が変わると、調子が狂うし、そもそも仕事のやり方を変えることに抵抗もあると思います。

そこで、行動を変えるには、「実験してみる」という感覚がとても大切です。

実験には、成功も失敗もありません。やってみたことで得られるデータがあるだけです。そのデータをもとに、最適な行動を選択していくという作業を繰り返していけば、おのずと望ましい行動ができるようになります。

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菅原 洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士

ユークロニア代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。