もしあなたも同じ「主体・行動型」のタイプだったら

でも、あなた自身も、「主体・行動型」のクセが強い場合、イライラするかもしれませんね。だってあなたも、他人より先にしたいと思うクセがありますから。

飯塚健二『「職場のやっかいな人間関係」に負けない法』(三笠書房)
飯塚健二『「職場のやっかいな人間関係」に負けない法』(三笠書房)

でも大丈夫です。

「返報性の原理」という心理学の法則があります。これは、「相手から何かをしてもらった場合、人はなんらかの『お返し』をしなければならないという感情を抱く」という心理のことです。

まずは、相手に先にさせてあげる。いいたいことはいわせてあげる。納得がいかないなと思うことがあっても最後まで相手の話を聞いて、相手が話し終えるまで待ってあげる。

そうすると、相手はいいたいことをいえたので気持ちがスッキリしますし、自分ばかりしゃべってしまったけれど、これでいいのかな……という心理が働きます。そうすると、あなたにもチャンスが巡ってくるというわけです。

以前、米フォーブス誌に、

「相手に最初に話させて、思いのたけを発散させます。そこから交渉に有利な価値ある情報を得ることができます。それで相手より少し有利な立場に立つことができます」

という記事がありました。

つまり、相手に先に話をしてもらうことで、相手が何を考えているのかを引き出し、より多くの情報を持つことができるようになるのです。

そうすることで、提案や交渉がしやすくなり、自分に有利な方向に話を誘導することができるというわけです。

まさに「負けるが勝ち」。こういうタイプに対しては、先を譲ることが自分を有利にすることにつながるのです。

写真=iStock.com

飯塚 健二(いいづか・けんじ)
新経営サービス人事戦略研究所マネージャーiWAMプラクティショナートレーナー

1977年生まれ。大阪大学卒業後、独立系システム開発会社にてSE・人事・経営企画等の実務を経験。その後、大手金融系シンクタンク、監査法人系コンサルティングファームにて人事コンサルタントとして従事した後、現職。中小企業から大手企業まで幅広い人事・人材育成コンサルティングの実績を持つ。経営戦略の実現に向けた人事制度改革・定着化や要員・人件費マネジメントの指導に加え、本書で紹介する「iWAM(アイワム/ベルギー生まれの総合適正検査ツール。職場における行動特性に注目し、人が職場において何に動機づけられ、どのような行動を取るのかを知るための分析手法)」の知見を活かしたコミュニケーション研修やビジネススキル研修、コーチング研修を手がける。