1948年に銀座4丁目で創業した和菓子屋「銀座あけぼの」。その三代目社長、細野佳代さんは、2004年に父親である先代から事業を受け継いだ。老舗の女性後継者としてどんな壁にぶつかり、どう乗り越えてきたのか聞いた。

志望だった教職を断念、就活も避けたくて入社

おいしそうな大福や季節の和菓子が並ぶ売場を、デパ地下などで目にしたことがある人も多いのではないだろうか。あけぼののお菓子はどこか優しく上品な印象で、手土産としても人気が高い。

曙 代表取締役社長 細野 佳代さん(撮影=小林 久井)
曙 代表取締役社長 細野佳代さん(撮影=小林 久井)

三代目社長の細野さんも、あけぼののお菓子と同じく優しい雰囲気を持つ女性。祖父から父、そして自分へと受け継がれてきた家業に、どんな思いで取り組んでいるのだろうか。やわらかな口調で今の思いを語ってくれた。

「就任当初は、会社とは社長が先頭に立って変えていくものだと思っていました。でも、私たちのような企業は歴史の積み重ねで成り立っています。そこに気づいたとき、どう変えていくかよりも、先人が築いた土台の上に何をどう積み重ねていこうかと考えるようになりました」

現在は全国約80店舗と400人近い従業員を主導する立場。だが、入社前は後を継ぐどころか、ずっと働き続ける気もなかったという。大学時代は教育学部で学んだが、実習で教職の難しさを実感し、また就活も避けたかったことからあけぼのを志望。社長だった父親に伝えたところ、すんなり入社が決まった。

結婚までの腰かけのつもりで入社した細野さんだったが、最初に配属された工場で仕事の面白さに目覚める。先輩たちに比べてあまりにも何もできない自分にショックを受け、「1日も早く成長しなきゃ」と思ったのがきっかけだった。