写真提供=ヤマトホールディングス
ヤマト運輸の各センターでは、作業の省力化、機械化、自動化が進められている。写真は、厚木ゲートウェイに導入された三辺自動梱包機。同機の導入によって梱包作業の生産性が向上し、商品サイズに合った最適梱包などを実現できる。

人の和を生み出す仕組みをつくる

——現状の単なる“ドライバー”から、SD本来のあり方へと戻していくためには何が必要なのでしょうか。

【瀬戸】「地の利」の改革です。各センターにおける小集団制、現場への権限委譲、全員経営という人の面でのヤマトならではあり方はこれからも変わらないでしょう。天の状況が変わったなかで、人の力を発揮させるには、地の部分を抜本的に変えていかなければなりません。具体的には、各センターでの作業について、ハード、ソフト両面から省力化、機械化、自動化を図ることです。これまで巨大物流ターミナルでは自動化を進めてきましたが、第一線の全国7000カ所のセンターについては遅れていました。それを今、本社主導で進めているところで、その原資を確保するためにも、宅急便の値上げに踏み切ることになったわけです。

——経営とは、常に天と地と人のバランスをとっていかなければならないわけですね。

【瀬戸】小倉がそうしたように、まずは、正しい目標に向かって、みんなの力を結集し、人の和を生み出す仕組みをしっかりとつくることです。難しいのは、天の時の変化の見極めです。今やるべきか、次でもよいかと判断に迷ったときは、今やる決断をすべきです。そして、地の利の改革を断行し、新たな武器を整備する。ヤマトも、7000カ所のセンターの改革には多少の時間がかかるでしょう。SDがかつてと同じようにサービス第一を実践できるようになれば、宅急便は必ず復調していくと思います。

(文=勝見 明)