悪い歯並びは姿勢にも大きく影響
また、歯並びの悪さは“姿勢”という点でも、見た目に悪影響を及ぼします。
歯は、食べ物を咀嚼するためだけのものではありません。全身のバランスをとるのに大きな役割を果たしています。歯がガタガタで噛み合わせが悪い場合はもちろん、虫歯や歯周病などで歯が1本抜けているだけでも、体のバランスが崩れ、骨格が歪み、姿勢の悪さにつながるのです。
背筋がまっすぐに伸びた人というのは、姿勢が悪くうつむき加減の人よりも、明るい印象を与えます。ビジネスパーソンにとって大切な“見た目”をよりよいものにするためにも、歯並び・噛み合わせは非常に重要なのです。
骨格の歪みはさらなるリスクを引き起こす
また、骨格の歪みからくる姿勢の悪さは、見た目に悪影響を与えるだけでなく、頚椎や腰椎のヘルニアの発症リスクを高めたり、神経や血液にも悪影響を与えたりします。
例えば、首の回りは重要な神経や血管が集中している場所です。歪んでしまった体のバランスをとろうとして首に余計なカが入ってしまうと、そこにある神経や血管を圧迫することになり、全身の神経や血流、リンパの流れにも悪影響を及ばすのです。
また、背骨(脊柱)の中には脳から出ている中枢神経と血管が走っています。中枢神経は左右31対の末梢神経に分かれて、全身の臓器や筋肉を支配します。血管もさまぎまな場所に枝分かれして、酸素や栄養を運ぶ働きをしています。
もし、脊柱が湾曲してしまうと、中を走っている中枢神経や血管が圧迫されるほか、変な方向に引っ張られて曲がるリスクが高くなります。その結果、痛みを生じさせたり、血流が阻害されたりします。
これによって起こる症状には、次のようなものがあります。
いずれの症状も、日常生活はもちろん、ビジネスシーンでもさまざまな影響を与えます。「ちょっと我慢すれば……」と、ストレスを感じながらもその場しのぎを続けているうちに、長期間にわたってパフォーマンスを落としたり、さらに深刻な状態を引き起こすことにもなりかねません。
歯並びを整えることは、姿勢を美しく保つだけでなく、健康な体を維持する上でも、大きな役割を果たすのです。
写真=iStock.com
歯学博士、経営学博士、東京医科歯科大学非常勤、インディアナ大学客員講師など国内外7大学の役職を勤める。世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト公認グランドマスター。ベストセラー『「学び」を「お金」に変える技術』(かんき出版)、『本物の気づかい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書多数。