働く女性は、もっとキレていい

働く女性には、一人で家事育児を背負ってしまう人も少なくありませんが、私には我慢しすぎているように思えます。正直、もっとキレていいとさえ思っています(笑)。出産後の働きにくさや両立の大変さについて、男性はまだ女性ほど理解できていないのです。

前出の調査結果からは、結婚せずに働き続ける「非婚就業コース」を予定ライフコースとして回答する女性が増え、21.6%に達していることもわかっています。自分が専業主婦でいられるほど稼ぎがある男性は少ない、でも共働きは大変だから結婚せずに仕事だけに絞る──。そう考える女性が増えるのは自然な流れかもしれません。

再就職可能な社会へ

前述の「理想のライフコース」を見ると、「一度離職しても再就職できる社会」であればよりよい、ということになります。これは、欧米のように各自のスキルが明確な社会なら実現可能ですが、日本の企業では配置転換が多いこともあって、スキルの蓄積がなされにくいのです。ですから、いざ転職というときに「履歴書に書けるようなスキルがない」と悩む人も少なくありません。

採用でも、欧米では初めから特定の職種を募集するのに対し、日本ではまっさらな新卒を一から訓練し、さまざまな職種を経験させていくのが主流になっています。これでは、専門的なスキルはなかなか身につきません。

自分のスキルがわからなければ、それを生かして再就職しようという発想も出にくくなるもの。職場において一定のスキルを磨いていける社会なら、転職も再就職もぐんとしやすくなります。出産や育児でいったん家庭に入っても、ひと段落したらまた働き始めることが可能です。

今後の日本には「働く女性」が欠かせません。それは国の経済だけでなく、家計においても同じです。そのためには、夫だけの力で年収800万円を目指す働き方より、夫婦それぞれの年収400万であっても、互いに仕事と家庭を両立しながら働ける環境づくりを目指す必要があるでしょう。

猛烈に働く夫と専業主婦の妻、共働きのDINKS、仕事を続けるために未婚を選択する──。どんな生き方を選ぶかはもちろん個人の自由ですが、どんなライフコースでもあまり悩むことなく選べるようになったほうがいいと思います。それが“誰もが働き続けられる社会”の理想のあり方ではないでしょうか。

構成=辻村 洋子 写真=iStock.com

筒井 淳也(つつい・じゅんや)
立命館大学教授

1970年福岡県生まれ。93年一橋大学社会学部卒業、99年同大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学。主な研究分野は家族社会学、ワーク・ライフ・バランス、計量社会学など。著書に『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』(光文社新書)『仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』(中公新書)などがある。