ロスを最小にする“影響範囲”の把握と行動

まずは、起こしてしまったミスについて、下記の点をチェックしてください。

□その失敗は「どこ」まで影響するか?(=影響範囲)
□「どうすれば」影響範囲全体への影響を最小化できるか?
□「誰」に伝えればその影響範囲をカバーできるか?

キーワードは「影響範囲」です。

ミスが大ごとになると、私たちはつい、一刻でも早く、ミスそのものの対応策を取ろうとしがちです。「自分で何とかしよう」としてしまうのです。しかし、「影響範囲」という単位で見て行動することが、被害を最小限に抑え、一瞬で解決まで導いてくれる人を見つけるための最短ルートです。

この「誰に伝えればその影響範囲をカバーできるか?」を考える際のポイントは、最悪の事態を想定でき、そうならないためのポイントを的確に考えられるのは誰かということです。

ミスや失敗、とくに不祥事に関しては、私たちはつい、「ばれないだろう」「大ごとにはならないだろう」「うまくいくだろう」などと、根拠がないまま都合よく考えてしまいがちです。

これは、人間の脳が持つ「正常性バイアス」という機能。どんな人にもある性質です。脳にはこんな性質があるということを自覚したうえで、あえて最悪の事態を想定し、必要なら誰かの助けを得て、その最悪の輪を縮めていくイメージでミスや失敗と向き合いましょう。

スピーディに、広報に知らせることを忘れずに

第一報で伝えるべきは「起こったこと」です。なるべく憶測や希望、感情を交えず、誠意を持って「起こったこと」を伝えましょう。わからないことはわからないと言っても許されるのが第一報です。

もうひとつ、第一報で伝えるべきは「謝罪」です。謝るというのは、社会的行動です。ですから、謝罪においては、今現在起こっていることを極力客観的に説明してください。「ごめんなさい」「申し訳ありません」「すみませんでした」という言葉は、客観的な説明の締めくくりの言葉です。「その言葉を言うこと=謝罪すること」だと勘違いしている方は、今すぐ改めたほうがいいでしょう。

なお、先の「影響範囲をカバーできる人」に「広報」が含まれていない場合でも、そのミスや失敗が組織全体の評判に関わるものであれば、この時点で広報にも知らせておきましょう。近年、広報での対応は、ますますスピードが求められてきています。その時点で社外に情報発信・謝罪するかも含め、広報の専門家と相談してください。影響をより小さくとどめる助言を得ることができるでしょう。