被害者に投げかけられる、同性からの冷めた視線
「どうせ、何か裏があるんでしょ? 売名行為かな」
「ああいう顔立ちの美人は、何か潔癖そう。苦手なタイプ」
「男を欲情させることができる恵まれた容姿、むしろ羨ましいけどね」
「生き方が下手だよね。こじれてないで、うまく使えばよかったのに」
これらは男たちが放った言葉ではない。強姦被害者のジャーナリスト・伊藤詩織さんが訴えを起こしてメディアに登場した2017年当時、記憶の途切れる酩酊という状況下で「合意はあった」と主張する男から理不尽に強姦される可能性のある、同じ側に立つはずの女たちが、彼女に唾した言葉である。
合意なき一方的な性交渉は性暴力だ。その性暴力を受けたとして、顔と名前を公表して正当な手続きで毅然と社会へ訴え出た女性に対し、日本では同じ女ですら共感を示すことなく、そして悪意の自覚なくむしろ「自分は冷静な良識派である」くらいの意識で、ある種のセカンドレイプに加担してしまう人々が実は多くいたのだと言える。