アベノミクスでリスク過多の人が急増中

「そんなときは、いま手元に50万円の現金があったとしたら、再びその企業の株式を買うかどうかを考えるといいですね」

それでも買いたいと思うなら保有を続けてもいいが、別のものに投資をしたほうがお金が増える可能性が高い、と考えるなら売却したほうがいいはずだ。

過去にどれほど株価が高いときがあったとしても、意味はない。株価は企業の過去ではなく、将来性を判断して決まるからだ。ほったらかし投資をするなら、投資対象に今後も成長力があるかどうかが大事になる。

「もう一つのチェックポイントはリスクを取りすぎていないかどうかです」

2012年末にスタートした第2次安倍政権によってもたらされたアベノミクス。すでに6年以上が経過している。これほど長期で安定的に株価が上昇した時期は過去に例がないという。

「そのため、多くの人が安心して投資額を膨らませている状況です」

投資をすればお金が増えるという成功体験を積んだ人が多くなり、リスク資産の比率が高くなりすぎている可能性があるというわけだ。

投資額は「損してもいい金額」の2倍が限度

では、自分が過剰なリスクをとっているかどうかはどう判断すればいいか。

「基本は、値下がりしたときに心が壊れない範囲で投資をすることです」

思い返せば、11年前の2008年にはリーマンショックがあった。このときは、あらゆる投資対象が暴落した。

直前の08年7月と直後の10月時点で比較すると日経平均株価は1万3400円から8600円へ約36%下落、ニューヨークダウも1万1400ドルから9300ドルへ約16%下落した。2007年に発生したサブプライムショック前の状態から比べると、世界の株式の価値の合計額(時価総額)が約60%失われたといわれたほどだ。

このとき、リスク資産を持っていた人に何が起きたか。当初は「いずれ戻るさ」と気楽に構えていたかもしれないが、1カ月、2カ月と値下がりが続くうちに耐え切れなくなって、投げ売りした人が多い。