学生時代より10倍面白くなる! 歴史の学び方

「学生時代、歴史は、日本史か世界史のどちらか一方だけを勉強しました」

おそらく、このような人がほとんどだと思います。

僕も高校時代は日本史選択だったので、社会に出てから、世界史をよく知らないというコンプレックスがありました。

日本史と世界史を両方学ぶと、歴史の勉強が断然面白くなります。

たとえば、学生時代に日本史だけを学んだ人は、さきほどお話しした元寇について、「モンゴル軍が日本へ攻めてきたけど、なんとか追い返すことができた戦い」という程度の認識だと思います。

でも、世界史を学んで、チンギス・ハンの圧倒的な力と彼がつくったモンゴル帝国の広大さを知ると、このときの日本がいかに大ピンチだったかがよくわかるようになります。日本にとって、「ほぼ絶望的な戦い」だったことがより鮮明にイメージできるようになるのです。

YouTubeの授業動画を配信するために世界史を学び、その後、日本史を改めて勉強してみたのですが、学生時代の10倍日本史が面白くなっていました。なぜ、世界史と日本史を両方学ぶのがそれほど楽しいのかといえば、日本史の出来事を世界史の視点から眺められるようになることの他に、もう1つ、日本史と世界史の中に、「共通点」を見つけ出せるようになることがあります。

日本史と世界史の共通点を意識するとさらに面白く

たとえば、中国・秦の始皇帝には、「農民の反乱を恐れて、農民から武器を取り上げて釣り鐘にした」という記録が残されています。

このエピソード、日本史の中でも聞いたことがないでしょうか?

そう、豊臣秀吉が行った「刀狩り」という政策と非常によく似ているのです。秀吉は天正16(1588)年に刀狩令を発し、大仏の鋳造を理由に農民から武器を徴収しました。秀吉の目的は、農民の武装を解いて一揆を防止することにあったと考えられています。始皇帝の狙いと、完全に一致しています。ここでもう1つ面白いのが、それぞれの政策が実施された時期です。

秀吉が刀狩りを行ったのは、1500年代のほぼ終わりです。始皇帝が農民から武器を取り上げたのは紀元前200年頃。いかに始皇帝の政策が新しいものだったかがわかります。これも、世界史と日本史を両方学ぶからこそ、得られる視点です。

他にも、始皇帝は、金持ちの有力者の反乱を恐れて重要人物を首都に住まわせています。このエピソードもどこかで聞いたことがありませんか?

江戸時代に、徳川家光によって制度化された参勤交代です。

参勤交代は、全国の各藩の大名に、1年おきに江戸と国元を往復させるという制度です。さらに、大名の正妻と世継ぎを人質として江戸に住まわせなければならないという決まりもありました。これによって、各藩は経済力が削がれ、天下泰平につながったとされています。

始皇帝の施策は参勤交代制度とは異なりますが、根本的な発想が似ていることに驚かされます。

(中略)

また、世界史のあとに日本史を学んだら、次は、偉人伝を学んでみると、様々な角度から歴史を眺められ、さらに多くの発見ができるようになるのでオススメです。