多様なチームでのコミュニケーションを模索

一方の永松さんは、部下が外国籍だったり、同僚が中国担当、オーストラリア担当だったりという環境で仕事をしているので、グローバルなコミュニケーションスキルが必須となってくる。

丸山祐子さん

「多様な人材がいる中で、どのようにコミュニケートしてリーダーシップを取っていくかが課題です。私の場合、7割が日頃の実務の中での学び、2割がメンターからのアドバイス、1割が座学といった感じ。グローバルプロジェクトに自分から手を挙げて参加して、実践をメインに学んでいます」

メンターになることをいとわない社風なので、永松さん自身もメンターになることで、国籍も文化も異なる人々の思考を知ることができる良い機会になるという。

そんな永松さんは「Blinkist」というアプリを重宝。1冊の本を要約したものが15分ぐらいの長さで聴ける仕組みになっているのでとても便利。気になっている本があれば、往復の通勤時間で大体の内容が把握できるから効率的だ。

一方の丸山さんはオーソドックスな読書派だ。ITの会社といえど、仕事をしているのは当然ながら人間だ。自分のチームのメンバーは楽しく仕事ができているのか?自分も皆も幸せでいるためにはどうしたらいいのか?と常日頃から意識している。『7つの習慣』や『道をひらく』など世界のベストセラーを読み込み、人間関係やモチベーションアップの参考にしている。

91歳の元気な姿に進化する大切さを学ぶ

Facebookでは現在シニア層を新たなターゲットにした取り組みを展開している。安全・安心な使い方をレクチャーし、社会とつながっていくための「#100年ずっ友プロジェクト」というシニア向けセミナーを17年からスタートさせた。

永松朋子さん

「84歳のプログラマーの若宮正子さんに、ダイバーシティがテーマのイベントに参加してもらいました。さらに年上、91歳の“インスタおばあちゃん”として有名な西本喜美子さんというキュートな女性もいらっしゃいます。お二人のアクティブさや前向きな姿には、本当に勇気づけられます。人生はずっと学びの連続で、何歳になっても進化し続けることができるんだと気づかされました」と丸山さんは、生涯にわたる学びの大切さを痛感している。

また、「人生は短距離走ではなくマラソンのようなもの」と言うのは永松さん。「周囲にいるグローバルリーダーたちは健康管理にとても気を使っています。『あなたは何の運動をやっているの?』という質問をされることが多くて。朝や夕方の涼しい時間帯に、3日で15kmを目標に走り込んで体力づくりに励んでいます。長生きしたとしても健康でないと意味がないですから」

世界のあらゆる年代のさまざまな人たちをつなげるサービスに携わる2人。「人」から学ぶことの大切さは人一倍実感しているのである。

古屋美佐子(ふるや・みさこ)
1970年生まれ。早稲田大学文学部卒業。カナダ・マギル大学のMBA取得。現アクセンチュア等を経て2003年にアマゾンジャパンに入社。アマゾンブックスの日本での立ち上げ、モバイルショッピングのプロダクトマネジャーを担当。17年より現職。
 

鳴坂育子(なるさか・いくこ)
1970年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業。電機メーカーでのSE、コンサルティングファーム勤務を経て、2004年にアマゾンジャパンにサプライチェーンのマネジャーとして入社。新しい配送サービスが導入されるたびにシステムを構築してきた。14年より現職。
 

丸山祐子(まるやま・ゆうこ)
1984年生まれ。米カリフォルニア州立大学フラトン校、インターコンチネンタル大学でファッションマーケティングを学ぶ。サイバー・コミュニケーションズでソーシャルメディア営業担当を経て、2013年フェイスブックに入社、現職。
 

永松朋子(ながまつ・ともこ)
1982年生まれ。大阪大学法学部卒業。ユニリーバ・ジャパンを経てコンサルティング会社に転職し、シンガポールを拠点にグローバルブランドのアジア展開マーケティングのコンサルティングを行う。2015年フェイスブック入社。17年より現職。
 

撮影=森本真哉

東野 りか
フリーランスライター・エディター

ファッション系出版社、教育系出版事業会社の編集者を経て、フリーに。以降、国内外の旅、地方活性と起業などを中心に雑誌やウェブで執筆。生涯をかけて追いたいテーマは「あらゆる宗教の建築物」「エリザベス女王」。編集・ライターの傍ら、気まぐれ営業のスナックも開催し、人々の声に耳を傾けている。