「日本が抱える最大の問題は人口減少だ」。投資家のジム・ロジャーズは、最新の著書『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』で、そう問題提起する。そして、この問題を解決するためにわれわれがなすべきことは何なのかを探る中で、女性の社会進出が重要なファクターとなる、日本が今後も経済大国としての地位を享受しつづけるためのプランを提言する。

※本稿はジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/AH86)

「人口減少問題」を解決するプランBを探る

日本が抱える最大の問題は人口減少だ。

過去50年間に日本人は勤勉に働き繁栄を築き、世界第2位の経済大国の地位に上り詰めたが、それは人口が増えていた時代の話だ。このままでは今後同じような成功を享受できるとはとても考えられない。

しかし、プランBはある。国境を開き、支出を削減する――。そういった抜本的解決策を提言したい。

日本政府は、少子化対策として効果がありそうなことは何でもやるべきだ。日本に最も必要なのは赤ちゃんなのだから、子育てにインセンティブを与え、仕事と両立できる環境を整えるなど、とにかく何でも、だ。

ところが、これは先進国に共通する現象だが、積極的に子を持ちたくないという日本人女性は多い。このこと自体は、私はある意味で素晴らしいことと考えている。仕事をしている実に多くの女性は有能で幸福だ。出産を諦めてまでも仕事に取り組みたい日本人女性がいることについては、私は日本経済を活性化させる原動力になり得ると考えている。

育児とキャリアの二者択一を迫られ続ける日本女性

「女性は天の半分を支える」という毛沢東の言葉のとおり、女性が男性と同じようにビジネスや政治において活躍するのは望ましいことだ。女性が大きな役割を果たすように変化することも、日本にとってのプランBとなるかもしれない。ところが日本では、従来から女性管理職の割合が世界の先進国に比べて低いといった問題がある。これは世界的に起きている問題だが、日本では特に、女性が「私は女の子だから」といってキャリアを諦める傾向があるようだ。

アメリカやシンガポールでは、女性も産後3カ月程度で復職をするのが一般的である。このことを知ると、一年以上にわたる長期間の育休が認められる日本のほうが子育て環境に恵まれていると思われるかもしれない。しかし、それは違うと私は考える。日本には保育園やシッターサービスが不足しており、家庭内だけで育児をしなくてはならないからこそ、育休期間を長く取らざるを得ないと解釈できるからだ。

この状況を放置していれば、日本の女性は育児とキャリアの二者択一を迫られ続けることになる。これは労働力が不足する日本にとっては由々しき問題だ。日本政府は、働く女性をサポートするサービスを予算の第一優先順位にあげて、早急に問題解決に取り組むべきだろう。