移民の受け入れが「人口減少問題」の突破口に

ただ、いくら女性の活躍が望ましいからといって、日本に子どもが必要なくなるわけではない。どんなに優秀な人であっても、やがて老齢化し、そのときに社会を支える若者はつねに必要なのだから。

ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)

女性の活躍を推進するとともに、少子化を防ぐための取り組みもおこなう。このことをトレードオフと考えるのではなく、両方進めなくてはならない。そうなると、残る選択肢はひとつに絞られる。移民を受け入れるのだ。

移民は国にアイデアをもたらし、活気を生み出してくれる。アメリカの場合、グーグル、アマゾン、アップル、フェイスブックに代表される刺激的な企業のほとんどは、移民にルーツを持つ人物が創業したものだ。

移民の受け入れを勧めると、多くの人は、「外国人に仕事を奪われる」と言うが、実際は移民が雇用を生み出している。もし今アメリカからグーグルやアマゾンといった企業がなくなれば、どれだけの雇用が失われるかを考えると、そのインパクトがわかるだろう。私が今住んでいるシンガポールも、世界各国の人材を受け入れた結果、今の地位がある。

また、歴史を振り返ってみても、移民は子どもを積極的につくるため、少子化の解消にも貢献してくれるはずだ。日本人女性が子育てに積極的になれないとしても、移民の女性たちが母親になってくれる。これは日本にとって光となる。

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ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)
投資家

ロジャーズホールディングス会長。1942年、米国生まれ。イェール大学で歴史学、オックスフォード大学で哲学を修めた後、ウォール街で働く。73年にクォンタム・ファンドを設立し、ヘッジファンドという手法にて莫大な資金を運用して財を成した。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び世界三大投資家と称される。『大転換の時代』(プレジデント社)、『世界大異変』(東洋経済新報社)など著書多数。