発売後の観察も肝心

一般に「グローバル・マーケティング」においては、今回のシャークニンジャのように、その国の消費者ニーズを徹底的に調査・研究することが重要だと言われます。

とくに自動車や家電、食品など「生活」において利用する商品を初めて、ある国で売り出そうとすれば、おそらく多くの企業が、発売の数年前から現地に社員を送り込み、その国の人々の暮らしをマーケティングするでしょう。

ただし重要なのは、「発売前」だけでなく「発売後」も、常に消費者の声を“体感的に”掴んでおくこと。そのためには、発売して終わりではなく、発売後の顧客の反応、とくに「売場」での反応を、営業や店頭スタッフ、あるいは“自分の目や耳で”キチンと掴み、課題や問題点、あるいはこの先のニーズを把握できるかどうかが大切です。

もちろん、国内の商品やサービスでも、同じことが言えるのですが……、実際に「思わぬ使われ方」をする可能性もある海外での展開だからこそ、「発売後」も消費者の声を聞き続け、改善を繰り返し、よりニーズに近い(あるいはニーズを超える)商品を生み出していくことが重要になる。

シャークニンジャのヒットの理由は、そのポイントをまさに“身を持って”実践する、ゴードン社長自身の姿勢にもあるのではないでしょうか。

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牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)
マーケティングライター、世代・トレンド評論家、インフィニティ代表

立教大学大学院(MBA)客員教授。同志社大学・ビッグデータ解析研究会メンバー。内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』『独身王子に聞け!』(ともに日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)ほか多数。これらを機に数々の流行語を広める。NHK総合『サタデーウオッチ9』ほか、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。