「与えられた人生の時間」を意識する

大切な友人が、この世界から旅立っていきました。

家族のいない彼女は、亡くなる数カ月前に主治医から「動けるのはあと2~3カ月ですから、いまのうちに会いたい人に会って、行きたいところに行っておいてください」と言われたといいます。

有川真由美『いつも機嫌がいい人の小さな習慣』(毎日新聞出版)

そのとき、「そんなこと、いまさら言われなくても、ずっとやってきたあたりまえのことよね」と笑った彼女は、たしかに、それまでと同じ時間との向き合い方をしていました。やりたいことをやり、やりたくないことはしない。会いたい人に会い、会いたくない人には会わない。自分の好きな世界を大切にする。人のためにできることをする……。

ホスピスに入ってからも「もっといろいろなことを知りたい」と本を読み、お見舞いにきた友人たちと大いに笑い、持ち物はきれいに処分して去っていきました。

悲嘆するのではなく、「いまの幸せな時間」を心から喜んでいました。10代20代で大病をした彼女は、人生の時間をいつも意識していたのかもしれません。

よく「残された時間」などと言いますが、ほんとうは「与えられた人生の時間」ではないでしょうか。そもそも生まれたこと、生きていること自体が奇跡なのですから。

「与えられた時間」を意識する習慣のある人、まったく意識していない人では、時間の過ごし方はまったく変わってきます。「与えられた時間」を意識していれば、ほんとうに大切なことに時間を使いたいと思います。人を恨んだり、後悔したりしている場合ではなく、人生のストーリーを的に、真剣に考えるようになります。

将来を漠然と不安がるのではなく、現実的に時間に向き合うようになります。

どの時点を切り取っても「いい時間を過ごした」と思える生き方がしたいものです。

「時間には限りがある」とわかっている人は強いのです。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ)
作家

鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。韓国、中国、台湾でも翻訳される。旅をするように国内外で転々と住らし、旅エッセイも手掛ける。2014・2015年内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮しの質」向上検討会委員。日本ペンクラブ会員。