怒りの矛先の向け方を間違わないように

たとえば、会社員ならば育児休業ひとつを取っても、男性にしろ女性にしろ、本来は休みを取るのは社員の当然の権利であるはずなのに、なぜか当事者たちが非難され罪悪感を背負わされることや、独身の社員など代わりの人たちに負担が集中し、社員同士で対立する構図が生まれることが多々あります。

根本的な原因は、適正な人員配置や日頃の業務効率の見直しが甘いことによるしわ寄せにあり、その課題を現場と経営が一緒になって改善していく必要があるはずなのに、現場同士でいがみあうという不毛な事態に陥ってしまうのです。

職場のセクシャルハラスメントやパワーハラスメントも、本来責任を追及されるべきは不始末をはたらいた側であり、ひいては適正な処分をくだすのは経営側の責任であるはずなのに、なぜか被害者側に問題があるかのように批判される事もめずらしくありません。

私自身が見聞きした事例の中にも、男性上司から目に余るセクハラを受けたため別の上司に報告したところ「彼に代わってその座に就こうという算段だと誤解されるぞ」と注意され、らちが空かないためさらに他の上司に相談しても「君が今のポジションから外れるべきだ」とたらい回しにされ、対処してもらえないどころか余計に傷ついたというケースがありました。

今回、五輪のマラソン・競歩の開催地移転問題については、ひとつの街がしわ寄せの対象となりましたが、このような事態はさまざまな場面で見られ、そして残念ながらこれからも同様の問題は起こりうるでしょう。そんな時のために、当事者でなくとも理不尽な環境に置かれている人の気持ちに寄り添える感覚や、不毛な争いをする事態にNOと言える感覚は身に着けていたいものです。

忘れてはいけないのは、事の本質、本来の責任はどこにあるのかを見誤らないことではないでしょうか。

写真=iStock.com 編集協力=シェアーズカフェオンライン

宮田 愛子(みやた・あいこ)
フリーキャスター

1982年、北海道出身。2005年、札幌テレビ放送入社。アナウンス部、報道記者を経て2017年にフリーに。