同じ献立を3日続ける超シンプル家事

家事のアウトソースが進まない理由の2つ目に「完璧主義」があげられます。日本の、特に女性は家事に求める品質が世界一高いと言われます。例えば欧米の共働き家庭では、自炊であれお手伝いさんの料理であれ、夕食のメニューが3日間同じということもよくあります。

ホームパーティーや記念日など特別な場合を除いて、自宅で家族だけで食べるなら、味や見た目にもそれほどこだわりません。普段の食事に高い品質を求める人は、外食するかデリカテッセンなどで買ってくるのが一般的です。

お弁当についても同様です。日本では彩りや栄養バランスを考えたり、子どもにキャラ弁をつくったりと手間をかける人も多いですが、海外ではリンゴ1個、ジャムを塗った食パン1枚ということも。買い物や料理、後片付けなど一切の手間を省いた、非常にシンプルな食生活と言えるでしょう。

もちろん日本でも海外と同じ生活をすべきだとは思いませんが、外での仕事を持っている以上、家事にもある程度の質低下を許す割り切りは必要でしょう。自分の許せる範囲内で、できる限り家事をシンプルにして、その分の時間をライフに回してはどうでしょうか。

こうした生活スタイルが広まれば、日本でも家事のアウトソースが進むかもしれません。アウトソースの第一目的はライフの時間を確保することであり、完璧な家事をしてもらうことではない──。共働き家庭の多くがこう考えるようになれば、意識面でのハードルはかなり低くなるように思います。

働き方改革に次いで「家事改革」が必要

近年、会社での労働に対しては働き方改革が叫ばれていますが、家庭での労働に対しても「家事改革」が必要だと思います。理想を言えば、仕事も家事も自由時間も全部楽しいのが一番。でも、現実はそううまくはいきませんから、せめて仕事と家事を精いっぱい効率化して、自由時間を増やす努力をしていただきたいのです。

手前みそで恐縮ですが、私はこの家事改革を推進する「ゆとりうむ」というプロジェクトに参加しています。家庭内のさまざまな仕事を効率化して、人生に自由な時間、つまりゆとりを生み出そうという試みです。住宅メーカーやキッチン用品メーカーなどさまざまな企業の協賛を得て、この夏から活動を開始しました。

今の日本では、家事のアウトソースはまだ一般的ではありません。しかし、共働き家庭は増加を続けています。この現状に即した解決法として、少しでも家事の効率化をサポートできたらと思っています。完璧とは言えなくても、そこそこの質を維持しながら効率化できる方法もきっとあるはずです。