“お勉強”をしすぎていないか

さまざまな組織コンサルティングの現場で多くの女性経営者、管理者のみなさんと話していて感じることはその責任感。そして、その責任感からくる勉強熱心さだ。何もこの勉強好きに性差を踏まえて考える必要はないのだが、印象として、とにかく「わからないこと」を事前につぶしておきたいという意欲が強いように思う。

マネジメントで煮詰まったら本屋に行きますね。とにかく自身の課題解決につながりそうな本を探して集中して読みます。
(自身が)社内ではかなり上のポジションなので、メンター的な人を探しています。異なる角度からアドバイスをもらえるように。
オンラインサロンには必ず参加して、常にさまざまな意見に自身をさらすようにしています。結構お金はかかりますが、自己投資なので。
経営者コミュニティの会合参加は最優先事項。さまざまな情報に触れることができますから。

今回はこの「お勉強」について、そのメリット・デメリットを考えていきたい。

インプットが行動の邪魔になることも

これは、趣味としての読書や、教養を得るための読書など本を通したすべてのインプット行為を否定するものではないし、ビジネスで必要なノウハウの習得をする上でも自身の生産性向上をはかる上でも、インプットは重要な要素だ。教養が人生を豊かにすることも確かだ。

しかし、中途半端にインプットしただけの知識は必ずしも正しい行動を導くとは限らない。むしろ、行動を止める材料になってしまうことがある。

例えば本を読んで「こういうふうにマーケティングしてみるといい」という材料があるとする。その材料を使って経験化してみたら、この部分はうまくいって、この部分はうまくいかなかった、という結果が出る。この場合、次に同じことが起きた時に、このことはやらなくていいけど、このことはやったほうがいいという判断ができる。これは本で得た材料が経験化されて自分の血肉となってしっかり使えている状態だ。この状態まで持っていくとようやく本を読んだ価値が出てくる。