女性は正社員としてバリバリ働くか、はたまた派遣社員となるか。2000年という節目をまたいで、時代は大きく変わっていった。

産んでも辞めずに働くワーキングマザーが増加

新世紀を迎え、マニッシュなパンツスーツが働く女性の新定番に。

「そこで各アパレルメーカーが提案したのが、女性らしいパンツスーツ。ウエストを絞ったショート丈のジャケットに、フルレングスのパンツを合わせ、スタイルアップして見せる工夫を施したのです。時代とともに生地も進化。ストレッチ素材を使用した動きやすく働きやすいスーツが女性の味方となりました」(渡辺さん)

一方、銀行の統廃合で空いた土地に海外資本が目をつけ、ラグジュアリーブランドの旗艦店が東京・表参道、銀座に軒並みオープン。フェミニンな装いも復活の兆しを見せる。

「07(平成19)年の『改正男女雇用機会均等法』施行などを機に、制服廃止が広がります。するとストッキングではなく素足、パンプスではなくサンダルやミュールなど、ビジネスファッションの多様化が進行。エビちゃん、もえちゃんOLが話題になったのもこの頃ですね」(渡辺さん)

女性の働き方に大きな影響を与えた、03(平成15)年施行の「次世代育成支援対策推進法」にも注目。

「これを機に第2次女性活用ブームが盛り上がります。主軸は『産んでも働ける社会に』。産休、育休、復職までのサポートとケアが一気に手厚くなりました。オフィス内でのワーキングマザーの比率がどんどん上がっていったのです」(石原さん)

未婚・既婚、子どもの有無、総合職、派遣社員……さまざまな女性がオフィスに混在する時代となった。

内閣も後押し、女性活躍推進が本格化

10年代のファッションは“ノームコア(※1)”“アスレジャー(※2)”へ。着心地がよいものをオンオフ問わずに着るスタイルが定着していく。

「オフィスでは、エレガントさを醸し出し、足さばきもよいガウチョパンツがブームに。またライダースジャケットやレーススカート、休日にも着回しできるセットアップなど、ビジネスファッションの私服化が進んでいきます」(渡辺さん)

そんななか、13(平成25)年に安倍内閣より「日本の成長戦略に女性の社会進出が必須」と発表される。

「この発言は確実に女性活躍を後押しするきっかけになりました。さらに16(平成28)年には『女性活躍推進法』が施行。企業が問題点を把握し、改善目標を数値化し、結果を公表するようになり、女性管理職も少しずつ増えてきました」(石原さん)