「やればやるだけ評価され、成功体験となって積み重なるぶん、仕事へのネガティブイメージがない。今でもバブル期入社の方々と話すと、『仕事は楽しいもの』というムードが伝わってきます。そんななか、86(昭和61)年に施行されたのが『男女雇用機会均等法』。これを機に、第1次女性活用ブームが起こります。
それまで、女性は男性の補助的業務を担っていたのが、“一般職”と“総合職”という呼称が誕生。女性のキャリア形成にコース分断が生まれたのです。総合職の第1期生は、89~90年ごろに入社した、現在50代前半のパイオニアの方々。まだその頃は企業に余裕があり、社員にどんどん投資した時代でした。女性社員を海外留学させる商社や銀行もあり、時代の恩恵を存分に受けていたのです」(リクルートワークス研究所人事研究センター長・石原直子さん)
景気の後退とともにカジュアル化が進む
80年代後半から90年代にかけて、渋谷に集う若者から発信され、爆発的トレンドとなったのが“渋カジ”。これ以降、キレカジ、デルカジ、フレカジなど、ファッションのカジュアル化が浸透していった。そのトレンドを受け、オフィスでも渋カジのキーアイテム、紺ブレが流行。タイトスカートやシルクスカーフを合わせ、きれいめのトラッドスタイルを実践する女性を見かけるようになる。
「バブル経済は92(平成4)年に崩壊したとされますが、ビジネスファッションはまだその薫りを残しながら、ゆっくりとカジュアル化が進んでいきます。好景気のときとは逆で、景気に不透明さが増すと性差が縮まり、ユニセックス化が進みます。たとえば、オイルショックや環境問題が表面化した70年代は、男性が長髪にしたり、女性がデニムをはくなどの動きがありました。90年代も男性のロン毛が流行ったり、女性が紺ブレやチノパンを取り入れたりなど、男女差のない装いが増えてきたのです」(渡辺さん)
就職氷河期、そして派遣社員の台頭へ……
不景気の波とともに、就職市場もどんどん冷え込んでいく。ほんの数年前は多くの企業から内定が出ていたものが、全滅という女性も現れるようになってきた。
「2005(平成17)年まで続く、就職氷河期の到来です。特に女子大生にとって超氷河期となりました。さらに1990年代後半には、大手商社をはじめとして、一般職の採用を取りやめる企業も出てくるほど。景気の悪化とともに、一般職を採用するなら派遣社員の採用に切り替えたい。多くの企業がそう考えるようになってきたのです」(石原さん)