自立準備は、あらゆる支援制度を使い倒す

前述のように会社との関係を整理すると、あなたは一歩自立に踏み出したことになります。もちろん会社との関係は切る必要はありません。しかし、「自分でやっていくんだ」という人は、「個人事業主」か「法人」のどちらかを選ぶことになります。

(1)個人事業主とは

つまりフリーランスです。会社との関係を見直して「業務委託契約」になった人は、もはやフリーランスです。確定申告も必要になります。

同時に、自分がやりたい仕事を「看板」にできます。地元の税務署に、たとえば「HARUN堂」という屋号を届け出ればもう手続き完了です。

こういった時のために、起業相談や起業セミナーを受けておくと、有利な補助金制度などを教えてもらえるのです。今からでも遅くはありません。情報収集したほうがよいでしょう。

(2)法人とは

「株式会社」「合同会社」「一般社団法人」などのことです。あなたが代表になって法人をつくるのもひとつの手です。司法書士などに依頼して、だいたい30万円ぐらいで設立登記の書類を作成できます。

クリエイティブ系やアート系などの人はあまり関係ないかもしれませんが、ビジネス系で自立してやっていきたい方は、法人を持つと、企業相手の取引がしやすくなります。

はっきり言って、大企業は個人事業主と仕事をしたがりません。法人口座を持っていないと取引してくれないことが多いです。個人に仕事を頼むのはリスクが大きいと考えているのが一番だと思います。それは少し変だと私は思うのですが、日本で仕事をする以上、現状ではそういう傾向があります。

ちなみに、「合同会社」は比較的安価に会社を設立することができますので、ひとりでやっていくにはこれで十分かもしれません。こういったことも、公的な起業相談窓口で相談に乗ってくれますので、やはり一度は行っておくといいですね。

また、自治体の創業支援制度に基づいて起業し、法人をつくろうという時には、登録税が安くなりますので、そういったことも含めて、使えるものは何でも使いましょう。

かしこい金融機関との付き合い方

自立して独立・起業に向かおうという方は、金融機関との取引を考えたほうがいいと思います。多くの人は、都市銀行などの銀行口座を持っているでしょう。法人をつくる場合、否が応でも法人口座をつくらなくてはならないのですが、たとえば地元の信用金庫などに相談して、自分の事業用の口座をつくり、定期積金などをはじめたらいかがでしょうか?

藤木俊明『「複業」のはじめ方』(同文舘出版)

信用金庫は、定期積金をすることをとても喜びます。そうやって付き合っておくと、貯金は貯まるし、たまに有益な情報をもらうこともできます。私の場合も、信用金庫が有利な融資を紹介してくれて、随分助かったことがあります。

また、「小規模企業共済」といって、個人事業主や小規模事業者の法人が加入すると有利な積み立てもあります。あまりあれこれと焦る必要はありませんが、どこかひとつ顔なじみの信用金庫を持っておいて損はないはずです。

もうひとつ、マイナスの情報を話すと、大手企業に勤めていた人が会社を辞めて個人事業主になると、金融機関からの信用がぐっと下がります。私自身はこれからの日本社会の状況を考えると、住宅を購入することには否定的なのですが、もしマンションなどを買う予定があるのであれば、会社を辞めないでいるか、あるいは辞める前にローン審査に出さないと、住宅ローンが通る確率はぐっと下がりますのでお気をつけください。

「こうありたい自分」のスキルを高めて収入をアップする

これはもう言うまでもないことでしょう。今後は自分の生活設計に影響があるのですから、スキルを高めて、収入を上げていくことに勤しみましょう。

といっても、好きなこと、やりたいことで働くわけですから、きっと頑張っていけると思います。

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藤木 俊明(ふじき・としあき)
ガーデンシティ・プランニング代表取締役、副業評論家

リクルート、ぴあを経て1991年コンテンツ企画制作のガーデンシティ・プランニング創立。社業のかたわらライティングや企画書制作の講師を務め、さらに近年は「複業」の啓蒙に勤しむ。