食事のほかに、お灸、ツメ揉みで四肢を温めよう

【タイプ別・四肢(手足)の温め方】

この時期は、寒暖差が日に日に激しくなりますが、まだカラダの準備が整っていません。そのため、体温調節をうまく行えずに、風邪を引いたり、ホルモンのバランスをくずしたり、免疫力が落ちることでアレルギー反応が強く現れたりします。対処法として、四肢を温め、カラダのバランスを調整しましょう。

一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、寒さでカラダが硬くなっているため、全身を温めて、緩めることが大切です。特に手足の血管が表面近くにある場所を、カイロやお灸などで温めるのが効果的です。カイロは低温で長時間温めることができるために、日常的なケアに効果的ですが、低温やけどを起こさないように、注意が必要です。お灸は高温で短時間温めることが可能ですが、熱すぎると逆に血管が収縮して血流が悪くなるのでこちらも注意が必要です。

足では太衝たいしょう三陰交さんいんこう、手では手首周辺に神門しんもん太淵たいえんと呼ばれるツボのあたりにカイロやお灸をすると効果的です。太衝は足の甲で、第1趾(親指)と第2趾の骨の間を足首のほうに辿っていったくぼみです。軽く触れると脈打つのを感じるところです。三陰交は内くるぶしのいちばん高いところに小指を置き、指幅4本揃えて、人指し指が当たるところです。神門は手首の曲がりジワを小指側へなでていき、骨の出っぱりの手前で指が止まるところで、太淵は親指の付け根あたりで、手のひら側にある手首にできるシワの端です。触れると軽く脈打っているところです(図表2)。

イラスト=筒井よしほ(イラストAC)

生活リズムが乱れることによっておこる生活習慣タイプの人は、カラダをリラックスさせ、自律神経を整えることが大切です。末梢の血流を良くするためにツメ揉みが効果的です。四肢は、体幹よりも脳への影響が大きいことから、脳内の血流を増加させることで気分改善に役立ち、ツメへの刺激は自律神経を整えるのに効果的です。基本的に、両手の親指、人指し指、中指、小指の4本の指のツメの生え際を揉むことで、副交感神経が刺激され、血流が改善します。なお、薬指は活動時に活発になる交感神経を刺激してしまう可能性があるので、リラックスしたいときには刺激しないようにしましょう。1本の指につき10秒ずつ心地良い程度に揉むようにし、1日2~3回程度行うようにしましょう(図表3)。

ツメ揉み=ツメの生え際を順番に揉んでいく。

床に敷いたタオルつかみで足の筋肉量をアップさせよう

年齢による加齢タイプの人は、筋肉量の減少などで循環が悪くなっているため、カラダが冷えがちです。特に手足の筋肉を鍛えて、末梢の循環を良くすることが大切です。手足の筋肉を鍛えるには「グーチョキパー運動」が効果的。手足の指を大きく開き、グーチョキパーをしてみてください。循環が悪いと特に足の指は動きにくいはずです。このグーチョキパー運動を1日10回程度行うことで、血流が改善します。また、足の筋肉を鍛えるために、床に敷いたタオルを足指でつかむ「タオルギャザー」体操を行いましょう。1日20回程度、タオルを足の指でつかむ練習を行うと効果的です。また、ビー玉を足指でつかむのも同様に効果的です。

グーチョキパー体操=足指でグーチョキパーを順番に行い、筋肉を鍛える運動。
タオルギャザー=床に敷いたタオルを足の指でつかみ、ギャザーを寄せるように手前に引き寄せる運動。
ビー玉つかみ=足の指でビー玉をつかんでは、横に置いていく運動。

なお、自分のカラダのタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

霜降は冬への1歩手前の時期。ココロとカラダのバランスがくずれ、免疫力が落ちやすく、風邪などを引きやすい季節でもあります。そのため、日頃から運動などで免疫力を強化し、カラダを鍛えるようにしましょう。

「霜降の特徴」

●心身の症状
カラダ:免疫力低下による症状(風邪・アレルギー)
ココロ:悩みが多くなる

●季節に多い症状
カラダ、特に四肢の冷え

●心身の養生法
カラダを温める食材を摂る、運動する

●食養生に効く食材
ジャガイモ・サツマイモ

●ツボ
大椎だいつい

写真=iStock.com

伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授

鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。同大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。