体温が1度下がると、免疫力は3割ダウン。冷えを解消するには……
霜降は、急激に寒さも深まります。寒冷順化と言われるように、寒くなればなるほどカラダも寒さに立ち向かう準備が必要です。特に体温調節や発汗調節、震えなどは自律神経が深く関与しています。そのためこの時期は、自律神経が疲弊し、調整がうまくできない時期でもあります。免疫力も低下しやすく、風邪やアレルギーなどを発症しやすくなります。また、寒さにより動きが鈍ることから循環も悪くなり、手足の冷えやむくみが目立つようになります。慢性的な疾患を抱えている人は体調をくずしやすく、とてもつらい時期となるでしょう。
ちなみに、体温が1℃下がると免疫力が30%低下するだけでなく、代謝も13%減少することが知られています。まだカラダがうまく寒さに慣れていないために、カラダ自体を冷えないようにすることが大切です。
実りの秋といわれるように、今までの努力の成果を肌で感じることで充実感を味わっていましたが、その充実感も少しずつ薄れ、ものさみしさすら感じ始めます。そのため、焦燥感が強くなり、何事にもやる気が出なかったり、悩み事が多くなったりするのがこの時期の特徴です。
ココロの状態を変えることはとても難しいため、カラダのコンディションを良い状態に保ち、心身ともにも正常を維持するように努めましょう。
冬に負けないカラダは、根菜と運動で内外から温めてつくる
「カラダとココロの養生法」
この時期、普段から風邪を引きやすい人はカラダを温める食材を多く摂るようにしましょう。特に、ネギやショウガなどカラダを温めてくれる食べ物やビタミンCなどは免疫力を強化するので、積極的に摂取するようにしましょう。同時に、運動はNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させ、免疫力を高めてくれることが知られており、さらに循環もよくなることで、冷え性などの改善につながります。この時期に運動会やお祭りが多いのは、お神輿を担いだり、走ったりすることで、生活の中に運動を自然と取り入れ、免疫力を高めるための生活の知恵であったと考えられます。冬に負けないカラダをつくるためにも、運動は定期的に行うようにしましょう。
運動は「フロントブリッジ」と呼ばれる、一直線の姿勢を維持する運動がお勧めです。①うつぶせになり、ヒジを床につけます。②つま先を立て、ヒジの真上に肩がくるようにします。③つま先とヒジでカラダを支え、腰を浮かせます。頭・肩・腰・ヒザ・足首までのラインが一直線になるように10秒間キープします。このとき呼吸は止めず、腰を反らさないように気をつけます。④その後、ゆっくり戻します。ここまでを1セットとし、1日3~5セット行いましょう。なお、10秒できない場合は、かなり筋力が弱く、体温が低くなっているのかも。その場合、まずは1回5秒から始め、徐々に時間や回数を増やしていくようにしましょう。
「食養生」
この季節の旬はジャガイモやサツマイモなどのイモ類です。ジャガイモやサツマイモは根菜類と呼ばれ、土の中に埋まっています。一般的に、土の中に埋まっている食べ物はカラダを温める役割が、土の外に生る食べ物はカラダを冷やす役割があります。ジャガイモやサツマイモはカラダを温める作用があるため、この時期にぴったりの食べ物です。
なお、ジャガイモは甘味とうるおいにより胃腸を守る働きがあります。一方、サツマイモにはカラダを補う作用があり、滋養強壮に役立ちます。
「お勧めのツボ」
霜降を乗りきるためのお勧めのツボは、大椎です(図表1)。大椎は首を前に倒したとき、首の付け根あたりに飛び出る骨の下にあります。このツボは、風邪などの呼吸器症状を緩和する際に利用することが多いツボです。イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するようにしましょう。また、触って冷たい場合はドライヤーで温めたり、お灸を行うことがお勧めです。