赤ちゃんのいる生活は“事件”だらけ
娘は7月生まれ。ちょうど大学の夏休みと重なったので、私自身の育休は取りませんでした。しかし、会社員の人など、育休が取れる環境にある人は取ったほうがいいと思います。権利としても、もっと主張するべきです。
一方で、企業の育休取得実績を増やしたいがために男性に育休を取らせるという、いわゆる「男性の育休取得の目的化」には懐疑的ではあるのですが。私は取っても取らなくてもあまり変わらない時期だったので、取りませんでした。
いずれにせよ、赤ちゃんが生まれた直後には、本当にいろいろな“事件”が家の中で起こっているので、夫婦で一緒に体験することはよいことだと思います。私は自宅の書斎で仕事をしながら、“ミルクの時間にお湯が沸いていない!”といったような小さな“事件”の数々に遭遇し、「これは大変なことだ」と気づきました。
妻の“人間リモコン”として生活する
妻の育休中は、書斎に籠もって仕事をしていても、妻から何度もヘルプの声がかかりました。ミルクの蓋を開けてほしい、空になったティッシュを入れ替えてほしい、オムツを持ってきてほしい、買い物に行ってほしいなどなど。
私が書斎にいなければ、なんとかひとりで乗り切ったことかもしれません。でもそれは、小さないのちを守るために、乗り切らなければならないからがんばっていただけであって、難なく乗り切れているわけではないのです。手が届くところに夫がいたら、頼みたいことは山のようにある。それが、赤ちゃんのいる生活なのだということがわかりました。
あの姿を見ていたら、赤ちゃんが家にいるこの時期は、家事と育児を最優先しようと、自然と思えてきました。私は、妻の“人間リモコン”として生活することにしたのです。
台所から水やお湯を運んだり、オムツを運んだり、食器を片づけたりと、家事とも雑用ともつかないことを、毎日毎日繰り返してやり続けました。
もちろん、料理はこれまでどおり私の担当。小さな家事まで全部、赤ちゃんを育てながらママひとりでやるとなると、本当に大変なことです。
私にできることは、料理、皿洗い、風呂洗い、掃除、ゴミ捨て、買い出し、その他雑用。ミルクもつくるし、赤ちゃんをお風呂にも入れます。妻のほうが得意なことはわかっていますが、クオリティを求められなければ洗濯もやる、といったぐあいです。
月並みな家事のことしか思い浮かばないけれど、リモコン操作されればなんでもやります。大事なことは、リモコンが押されたときに、電波の届く場所にいること。そしてバグらないこと。