平日でも1日に平均6時間は家事・育児をするという常見陽平さん。大学の教員をしつつ、評論家としても活躍する常見さんが、子育て世代の当事者として日本社会に感じる強い違和感とは――。

※本稿は常見陽平『僕たちは育児のモヤモヤをもっと語っていいと思う』(自由国民社)を再編集したものです

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kohei_hara)

育休は、休みではない

娘は1歳になる直前の4月に、保育園の0歳児クラスへ入園しました。妻は産前・産後休業と育児休業を取得し、職場復帰は慣らし保育を終えた5月。それまでの10カ月間は、おもに育休中の妻がメインで、24時間、娘の面倒をみていました。

もちろん、私もできるだけ家にいて、一緒に家事と子育てをするようにしました。

「育休」という言葉に「休」という文字が入っているからか、当事者以外は「休んでいるのだから、家事も子育てもできるでしょう」と考えがちです。企業や男性、女性でさえも「育休をとっているんだから」という目で見てしまう。

ところが、とんでもない。ママに休んでいる時間はまったくありません。もし、「うちのママはひとりで全部やっていた」と言う人がいたら、それは「育休」という言葉がママの大変さやつらい気持ちを全部覆い隠してしまっていたのではないかとさえ思うのです。 赤ちゃんが家にいて、ママがお世話をしている状況では、ママは常に気が張っていて心身共に余裕がない状態に置かれています。

日中、仕事に出かけているパパは、その姿を見ずに済んでいるだけなのです。