社員の士気を高める優秀社員表彰制度。社長が賞状を手渡し、本人の健闘ぶりをねぎらう。

失敗は人を成長させる最高の育成法

——人の育て方について、もう少し聞かせてください。経営方針として「教えない」「上意下達をしない」というのがありますね。

【横田】指示命令は1ランク上の社員が下の社員に向けてするものです。しかし、「俺の言うことを聞け」でやっていたのでは、人は言われたこと以上には成長しない。日頃から自分で考えて仕事をしていれば、1ランク上の社員の価値観と知識・能力が短時間で身に付いていきます。そうなれば、いちいち上司に相談する必要がなくなりますね。

——マニュアルもつくらないそうですね。

【横田】マニュアルや仕組みがきちんとできていると、効率よく仕事ができます。目先の対応はそれでいいかもしれませんが、マニュアルに頼っていると、人は考えようとしなくなります。つまり、人がロボット化してしまうわけです。それだと、不測の事態や世の中の変化に対応していけない。直近でいえば、トヨタ系のディーラー政策の大転換があります。これまでは護送船団方式のチャネル別販売でしたが、今後はその垣根がなくなって、どの車種を扱ってもいいことになります。こういう事態にどう対応していくのか。マニュアル漬けになってしまった人間からは、柔軟で新しい発想は出てきにくいでしょう。

——そういうマネジメントをしていると、才能ある若手はぐんぐん伸びていきますね。ただ、経験不足などが原因で失敗することもあると思います。そのリスクはどう考えているのですか。

【横田】会社としては社員が失敗するよりは、失敗しないほうがいいに決まっています。しかし上司の指示命令でやっていると、自分が失敗したときに何が原因だったのか、気付かずに終わってしまうことが多い。そうでなくとも、失敗したら上司から問い質されるので、本人は言い訳します。本人が失敗した部分も包み隠してしまう。人は自分が思うようにやってみて、うまくいかなかったことに対して初めて反省します。失敗はその人を成長させる最高の人材育成法なんです。若手社員は失敗することで、上の人の価値観、能力、知識などを身に付けて短い期間で成長します。こういう仕組みができると、会社は放っておいてもどんどん良くなっていきます。

「教えないから人が育つ」横田英毅のリーダー学』で著者の天外伺朗さんが私のことを例に挙げて、経営者が「愚者の演出」をしていると組織が活性化する、フロー経営ができる、と書いているのですが、社員はトップの意向や評価を忖度そんたくせずに、自分からどんどんやりたい仕事をやっていくわけです。