必須アミノ酸とゆるめる運動で筋肉を鍛え、春に備えよう

【タイプ別・カラダの鍛え方】

この時期は春から夏にかけて心がけてきたことが実を結び、何らかの成果を受け取る時期です。その一方、今から来年の春に向けて、次の種を植えるためにカラダを鍛えることが大切です。春に向けてカラダを鍛え、次年度の準備を始めましょう。

一生懸命頑張りすぎの頑張り屋さんタイプの人は、動的ストレッチでカラダを適度に緩めながら鍛えるようにしましょう。お勧めは、ウォーキングランジという動的ストレッチ(図表2)。上半身を床と垂直を保ったまま、片足を大きく前に踏み出し、前に出した足のヒザが直角になるまでカラダを沈み込ませます。元の姿勢に戻って、反対の足を前に出し、同様にカラダを沈み込ませます。この動作を1日の活動が始まる前に両足交互に16回程度行いましょう。

ウォーキングランジ
ウォーキングランジ:①真っ直ぐ立つ。②片方の足を一歩前に踏み出し、③そのヒザが直角になるまでカラダを沈み込ませる。元に戻って反対側も同様に。交互に16回ほど行う。

生活リズムが乱れることによっておこる生活習慣タイプの人は、筋肉の原料となるタンパク質を多く摂ることが大切です。タンパク質には植物性と動物性があり、植物性タンパク質は脂肪が少なくダイエット向きですが、食事でしか摂取することのできない必須アミノ酸が豊富に含まれるのは動物性タンパク質。秋は次の季節に向けてカラダを整え、つくる時期であるため、動物性タンパク質を積極的に摂取するように心がけましょう。特に、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類や魚介類(貝類と甲殻類以外)は、必須アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、スレオニン、バリンの8つを含有しアミノ酸スコアは100。それに対し、植物性タンパク質の大豆のスコアは86と少なく、特に、アレルギーのもとになるヒスタミン濃度を低下させ、利尿機能にも関与するメチオニンが少ないことが知られています。メチオニンは、むくみや動脈硬化の予防にも役立つ成分でもあります。

ノルディックウォーキング:手に持ったポールを反対の足の前に出すようにひねりを加えて歩くと、さらに効果アップ。

年齢による加齢タイプの人は、全身の筋肉をトレーニングできるノルディックウォーキングがお勧めです。ノルディックウォーキングはポールを使って全身を使いながら姿勢を伸ばして歩くため、全身の筋肉を使ってカラダを鍛えることができます。前にあるポールが後ろに下がる瞬間に少しだけ力を入れると、より全身の筋肉を使うことができて効果的です。さらにノルディックウォーキングは、エネルギー消費が普通のウォーキングより20%も増加することが知られています。肺活量を鍛えたい場合は、勾配がある山道などを選ぶとより効果的です。平地でも山道でもいろいろなところで行えるので、1日1回5分ほど行うようにしましょう。余裕のある人は体幹をひねりながら行うと、さらに効果がアップします(図表3)。

なお、自分のタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

寒露は、秋から冬へと本格的に移り変わる季節。今年1年頑張ってきた成果をみしめながらも、来年度に向けてカラダを鍛える時期です。何をするにもカラダが資本。そのため、筋肉を鍛え、カラダの土台を整えることが大切です。

食事もおいしく、運動もしやすい季節です。動物性タンパク質をしっかり食べ、全身を動かす運動をすることがなによりも大切です。

「秋分の特徴」

●心身の症状
カラダ:ホルモンバランスの乱れ、皮膚の症状
ココロ:気持ちが充実する

●季節に多い症状
躁状態

●心身の養生法
バランスのよい食事、日誌でココロを整理

●食養生に効く食材
栗・柿

●ツボ
曲池きょくち

写真=iStock.com

伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授

鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。同大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。