「いい加減」を知ることで、カラダの調子が整えられる

寒露は、植物を見てもわかるように春から夏にかけて育んできたものが実となり、収穫できる時期です。人も同様で、春から培ってきたことがようやく実を結び、人から注目され、高揚感を得られやすい時期なのです。高揚感と食欲の秋が重なって食べすぎることで体重が増えたり、運動の秋ということで、動きすぎて関節を痛めたりしてしまいます。また、疲れすぎることで免疫機能が低下し、風邪を引いたり、膀胱炎を起こしたり、女性はホルモンのバランスが良くないため生理痛が悪化したりします。

人から注目され高揚感を得ることは、次への原動力となりますが、ここで頑張りすぎると後でカラダを壊すことになるため、何事も無理をせずに「いい加減」を保つことが大切です。

高揚感は人を動かす原動力になりますが、頑張りすぎるとカラダを壊し、最終的にはココロの状態が不安定になるため、高まる気持ちをセーブできるように深呼吸や瞑想などで工夫することも必要です。

また、周りが高揚感に浸っているのに自分が高揚感を得られていないと、周囲から取り残された気持ちになり、気分が落ち込むことも。高揚感を得られにくい状態になっていることもあるため、ココロのバランスだけでなく、カラダのバランスを整えるようにすることが大切です。そんな時こそ、さまざまな本を読み、ココロの栄養を蓄えることをお勧めします。

カラダ養生は、食事と運動。ココロの養生は、日記がお勧め

「カラダとココロの養生法」

幸福感は脳内モルヒネと呼ばれる物質がつくり出すと考えられています。脳内モルヒネをつくるには、たくさんの種類のアミノ酸が必要です。アミノ酸には自分でつくることのできるものと、自分ではつくることのできない必須アミノ酸があります。バランスの良い食事を摂らないと必須アミノ酸が足りなくなり、脳内モルヒネをつくり出せないため、幸福感が得られにくいと言われています。幸福感を感じにくい人は、食事の内容を見直すようにしましょう。

特に、シラスや鰹節に含まれるフェニルアラニンや豆類に含まれるトリプトファンはとても大切な必須アミノ酸であるため、積極的に摂取するようにしましょう。また、牛乳(カソモルフィン)、ホウレンソウ(グルテン・ルビスコリン)には脳内モルヒネの合成に必要な物質が多く含まれていることから、これらの食品も摂るよう心がけましょう。

ココロを整えるには、日誌をつけることがお勧めです。日誌に1日の生活習慣とともに、その時の感情や事実をまとめて、自分自身を客観的に見つめ直してみましょう。メンタルが弱くなっている人は、起きた出来事やストレスを「悲観的」にとらえ、その悪い側面に注目して「客観性」を失っています。大切なのは、感情ではなく事実であり、その「事実の明るい側面を見る(楽観的に解釈する)」こと。メンタルを強くするには、「事実」と「感情」を分けてとらえることが重要なのです。

「食養生」

この季節の旬は栗や柿です。栗はエネルギー源となる炭水化物が豊富であるため、脳を活性化する働きがあります。またビタミンCが豊富で、ストレスの軽減効果があるとともに、マンガンや銅が多いため、骨を丈夫に保ち、貧血予防や健康を維持するにも効果的です。一方、柿は炎症を抑える作用があるため、風邪や胃腸炎の予防に効果的。鎮静効果もあるためリラクゼーション効果があります。また、収れん作用があるために皮膚や粘膜を強める働きもあります。

「お勧めのツボ」

寒露を乗りきるためのお勧めのツボは、曲池きょくちです(図表1)。曲池はヒジを曲げるとできるシワの外端(一番外側)にあります。このツボは、胃腸の機能やホルモンバランスを整え、血流を促進する作用があります。イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒空けて5回程度刺激するといいでしょう。

曲池