妊娠率のデータで客観的事実に向き合う

「そろそろ本腰を入れないと授かれないかも」とエンジンをかける女性に対して、男性は「そんなに焦らなくても」「そのうちできるよ」「君は若々しいから大丈夫」とのれんに腕押し、といった話は「妊活あるある」といって言いほど。年齢によるタイムリミットを実感しづらい男性の目を覚まさせるためにも、やはり客観的データの提示が効くようです。

「わかりやすいのは、年齢別の妊娠率の変化を表したデータです。これを見れば、年を重ねるにしたがって妊娠率が下がることが一目瞭然。もっとも妊娠率が高い日で比較すると、20代前半なら50%、20代後半から30代前半なら40%、30代後半では30%です。さらにこのグラフからは、男性も年齢を重ねることで、女性を妊娠させる能力が低下することが見てとれますね」

年齢による女性の妊娠率の変化
図版=大橋昭一

「不妊治療においても、年齢は治療成績を左右する大きなファクターです。35歳以降は妊娠率が下がるとともに、流産率、先天異常の赤ちゃんが生まれる確率も高くなります」

ライフプランを話し合うためのデータ

「これらのデータを見せながらぜひ行ってほしいのが、2人のライフプランをすり合わせることです。子どもは1人がいいと思っている夫婦と、2人以上ほしいと思っている夫婦とでは、妊活をどれだけ急ぐべきかも違いますよね。でも、基本の家族計画を面と向かって話したことがないという夫婦は意外と多いものです」

欲しい子どもの数別 妊活のスタート時期

「こちらはオランダの研究チームがまとめたものです。こうしたデータも、夫婦の意識をすり合わせるときに役立ちそうですね。達成確率75%の年齢を目安としてみてはいかがでしょう」

「妊活なんて必要ない」「俺たちに限っては大丈夫」という意識低めなパートナーを前にすると、つい焦りやイライラから感情的になってしまう、という方もいるでしょう。でも、無関心に見える態度は、正しい知識を知らないがゆえのことかもしれません。確たるデータを見せることで、話し合いもぐっと建設的になるはずです。

構成=浦上 藍子 写真=iStock.com

吉川 雄司(よしかわ・ゆうじ)
ヘルスアンドライツ 社長

妊活や不妊治療に取り組む夫婦をサポートする事業を展開。クラウドファンディング「妊活大事典プロジェクト」発起人。相談できる生理管理アプリ「ケアミー」を運営中。