年齢を重ねるにつれ、妊娠できる確率が下がっていくのは厳然たる事実。とはいえ、「そうはいってもまだ結婚の予定がない」「現時点での妊娠は考えられない」と悩む女性も多いでしょう。今回のテーマは「卵子凍結」。将来の妊娠の可能性を高めるための一手として、卵子凍結は果たして有用なのでしょうか? 産婦人科医の月花瑶子さんにお話を伺いました。
卵子凍結とはどんな技術なのか
卵子凍結とは、将来の体外受精を見据えて未受精卵を凍結する技術。もともとは、抗がん剤治療や放射線療法を受ける若年女性患者に対し、生殖細胞への影響を避けるために行われてきた医療です。
この技術が一般に認知され始めたのは、今から5〜6年前にさかのぼります。2013年、日本生殖医学会がガイドラインを正式決定。健康な未婚女性が将来の妊娠に備えて卵子凍結を行うことが認められました。
「妊娠率を左右するのは、卵子の質。卵子は年齢とともに老化するため、35歳を過ぎると妊娠率は下降線をたどります。卵子凍結は、この老化リスクに備えることができる画期的な技術だと話題になりました。30歳の時に卵子凍結をしておけば、40歳で体外受精をする場合にも、30歳相当の妊娠率が期待できるのです」と月花さん。
『やさしく正しい妊活大事典』(プレジデント社)
女性が中心に進むことの多い「妊活」や「不妊治療」。しかし、男性側にも原因がある割合は48%にものぼる。本書では女性だけではなく、男性も理解しておくべき妊娠のメカニズムから、体外受精、パートナーのメンタルケア、不妊治療に掛かるお金の話までを網羅。主人公のサラリーマン「せいじ」と産婦人科専門医「きょうこ先生」の対話を通して学ぶことができる。