余裕資金をもう少し運用に回したい

Bさん 38歳・既婚・子ども1人
総資産●2000万円(投資信託200万円、預貯金1600万円、米国株ETF200万円)

Bさんは仕事が多忙のため、数年前に「ほったらかしにできる」と聞いたことがあった投信の積み立てを選択。老後に不安があったため、まずはiDeCoで積み立てを開始した。2018年からは、つみたてNISAでも積み立てをしている。保有するのは、すべて海外株式型のインデックス型投信。1年ほど前から、資産をもう少し運用に回したいと考え、株に詳しい友人に倣って米国株ETFを下落局面で購入している。

「投信を積み立てで買っているのは賢明な判断です。投信でも株でも、下落局面でまとめ買いしたほうが得という考え方もありますが、買い時を見極めるのはプロでも難しいので、毎月コツコツ定額を積み立てるほうがベター。この大原則を踏まえると、米国株のS&P500ETFを下落局面で買うのは、特に忙しい方には、あまりおすすめではありません。余裕資金があるなら、月々の積み立てを増強するといいですね」

積み立てている投信の種類については「合格点です」と中桐さん。

「いずれも分散投資の効果が高いもので、コストも低いですね。投信を保有していると、信託報酬以外に『その他の費用』がかかります。銘柄の売買手数料や外貨建て資産の保管費用など。同タイプで信託報酬が同水準の投信でも、これらの費用が大幅に違うことがあります。複数の目論見書を見比べると違いがわかるので、チェックしてみてください」

Bさんのポートフォリオの難をひとつ挙げるとすると若干、米国に偏っていることだという。

「もし余裕資金をさらなる積み立てに回すなら、米国以外の投資対象がよさそうです。といっても、前述の『コア』がしっかりしているので『サテライト』の位置づけで、たとえば、ESGの観点で商品を選んだりと、ポートフォリオに価値観を反映するのもいいと思います」

▼用語解説
【S&P500】
米国市場を代表する株価指数。米国の大企業500社の株価を基に算出。
【ETF(上場投資信託)】株式市場に上場し、株と同じように1分1秒単位で値動きする投信。