増税商法に騙されてはいけない

こうした商品に限らず、どんな購買行動についても、税率が上がるからこの期に買ってしまおうというのは本末転倒であり、まさに前述の「選好の逆転」に他なりません。必要なものを必要なだけ購入するのであれば増税前に購入しても良いでしょう。

でもこれは繰り返しになりますが、増税だからその前にここぞとばかりに買いだめをするというのは結局不要なものを買ってしまいかねません。余分な買い物をした結果、使いきれなくて放ったらかしになっていたり古くなって捨ててしまったりすることも起こり得ます。多くの業者は消費税増税があると、それを商売チャンスと考え、その前に駆け込み需要を喚起するような広告や記事を載せますが、それらに乗せられないようにすることも大切です。

税金が上がる=損をする、という単純な発想ではなく、本当に必要なものであれば、税は関係なく買えば良いし、不要なものはいくら“お得”と言われても買うべきではないということでしょう。

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大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。