メンバーが成長できる環境をつくりたい

刺激を与えつつ寄り添う。ときには「今日は何食べた?」とたわいない会話を交わしながら、1人の人間として理解することも心がけてきた。

「経営者ですから売り上げや数字も大事ですが、みんなが気持ちよく仕事ができ、成長できる環境をつくることも私の大事なミッションです」

柔らかな声でそう語る加藤さんは、2018年末に第1子を出産。育児にも自分なりのビジョンを描いている。

「仕事と育児の両立が社会問題になっていますが、私は、ときにはリモートワークを取り入れ、柔軟な働き方を推進したいと考えています。ほかにも育児中のメンバーがいるので、社内で多くの事例をつくり、一企業としてその両立が成功することを証明したい」と社会的使命を抱く。

常にエネルギッシュ。そんな彼女にとってのリラックス法とは?

「週に1度、花を買い、部屋に飾ることです。生きている花から、海や山へ行ったときのような自然の息吹が感じられて。忙しいときも、ふと視界に入るだけで和むんです」

花と家族に囲まれて心地よく暮らす。それが仕事への活力になることをピュアな笑顔が物語っていた。

▼My Favorite【私のマストアイテム】

女性らしさを保つために。ハンドクリームでケア
女性=弱いと思われるのが嫌で、相手を力強い握手で圧していたときもあった。「やがて、女性であることは強みだと思えるように。柔らかな手を保つために、お手入れは欠かせません。今は娘と一緒に使えるものも買います」
手巻き時計で、デジタルデトックス
ITの会社でどっぷりデジタルの世界に漬かる日々。「デジタルの波に流されないよう、時計はあえてアンティークの手巻き時計をはめています。ネジを巻く瞬間は心が“無”になる。そのひとときがいとおしいです」
けんかをしたら500円。夫婦円満の鍵を握る貯金箱
夫とメキシコ旅行をしたときに買った、思い出の貯金箱。「夫婦げんかをしたら、貯金箱に『ごめん』と謝りながら500円玉を入れます。早く仲直りできるよう、2人で決めたルールです」。貯金箱に対してなら素直になれる。

文=安井洋子 撮影=吉澤健太 撮影協力=Florist IGUSA

加藤 愛子(かとう・あいこ)
Houzz Japan社長

1983年生まれ。幼少期を米国で過ごし、シカゴ大学卒業後、米国投資銀行ゴールドマン・サックスの東京支社、ロンドン支社に勤務。2011年、フランスのINSEAD(インシアード)でMBAを取得後、ビューティー・トレンド・ジャパン代表取締役を経て、14年より現職。アジア統括ディレクターも兼任。1児の母。