そう話すのは、雇用政策・家族政策に詳しいリクルートワークス研究所主任研究員の大嶋寧子さん。これだけでは日本と大差がないようだが、スウェーデンの産休・育休制度がユニークなのは、夫婦のどちらか一方だけでは、休業期間を使いきれない仕組みになっている点だ。
「390日のうち最低90日間は夫が休業しないと、その分の有給休業の権利が消失します。つまり、夫が休まないと損。『パパクオータ(割り当て)制度』と呼ばれていますが、これがあるおかげで、スウェーデンの男性の育休取得率は、実に90%を超えています」
日本の男性の育休取得率は、2017年度に過去最高となったが、それでも5.14%。スウェーデンと比較すると、かなりの差がある。
男性が子育てする時間が短すぎる日本
長い育休を取得するスウェーデンの男性は、家事・育児にも積極的に参加する。内閣府の調べによれば、6歳未満の子どもを持つ男性の家事・育児関連時間(1日あたり、国際比較、16年)は、日本だと平均1時間23分だが、スウェーデンでは3時間21分にも上る。ほかにも米国やドイツなどが3時間以上なので、スウェーデンが突出して長いわけではないが、日本の短さは際立つ。
「日本の産休・育休制度の内容は、世界でも比較的充実しているほうです。ただ、日本の男性の育休取得率の低さや、家事・育児への関わりの少なさを考えると、夫の育児参加が進むスウェーデンなどのほうが、働く女性にとって子育てしやすい環境と言えるかもしれません」