ペットの遺品を保護施設に寄付する活動も

ディアペットを経営するインラビングメモリーの取締役、関口真季子さんは、ペットロスカフェ開設の経緯をこう話す。

「数年前にペットの仏具店としてお店をだしたとき、来店時は悲しみに暮れていたお客さんが、スタッフと話をするうちに落ち着きを取り戻し、帰る頃には元気な表情になっていくことに気づきました。そこで、カフェ形式のオープンなスタイルで、ペットを亡くした人たちが思いを共有しながら自由に過ごせる場所をつくろうと考えたんです」

客層はさまざまだが、40代の女性が単独で訪れるケースが最も多いという。平均滞在時間は1~2時間、なかには5~6時間ほど滞在する人も。スタッフに話を聞いてもらったり、客同士で交流したり、ひとり静かに思い出に浸ったりと、思い思いに過ごす。“泣ける場所を求めて訪れた”というケースもあるそう。

保護犬・保護猫団体の支援にも力を入れており、カフェの売上げの一部は、旅立ったペットのフードやトイレグッズなどを集めて保護団体に寄付する活動「いのちのバトンプロジェクト」の運営に活用されている。

▼仏壇仏具写真

店の地下には、仏壇や仏具が販売されている。部屋に置いても違和感のない可愛いデザインばかり。

▼毛で作るチャーム

店内には、手元供養グッズも豊富。一番人気は、毛でつくるチャーム。そのほか、遺骨のジュエリーなどもある。

ペットにも「終活」が必要な理由

ディアペットを経営するインラビングメモリー取締役の関口真季子さん。自身も3匹の猫の飼い主。「店内には、ペットロスや動物愛護に関する本などもたくさんあるので、ゆっくりくつろいで過ごしてもらいたいです」

ペットを亡くし、つらい気持ちを抱える人と多数接してきた経験から、関口さんは「ペットにも“終活”が必要」と提言する。

「愛するペットをきちんと見送ることは、飼い主としての責任を全うすること。最低限、考えておきたいのは、治療方針と葬儀です。病気になったらどこまでの治療をするのか、別れの場ではどんな見送り方をするのがベストなのか。あらかじめ知識を持って、納得のいく方法を考えておくことによって、後悔のないお別れができ、ペットロスの重症化を防げます。また、死に向き合い、理解を深めることで、今一緒にいる時間を大切にしようと思えますし、いずれ訪れるペットの死を前向きにとらえることにも繋がっていく。ペットのため、そして自分のために必要なことだと思います」

西尾 英子