悲しみを「言語化」して気持ちを整理
実際にペットロスにおちいった場合、どのようにして立ち直ればいいのだろうか。
方法としては、大きく3つある。もっとも効果的なのは、「悲しみを言語化すること」。
その際に有効なのが、「ナラティブアプローチ」と呼ばれる心理学の手法だ。
「ペットを亡くした経験を、ただつらいだけのものから、“意味のある経験だった”と、とらえ直して前向きになるための方法です。共感しあえる当事者同士で気持ちを話したり、あるいは、手紙や日記に自分の喪失体験や感情を物語のように書きつづっていく。それを繰り返すうち、次第につらい体験や感情に対するとらえ方が少しずつ前向きに変化していきます」
2つ目の方法として、新島教授は、「ペットの葬式」をあげることを提案。
「お葬式は、実はペットのためだけでなく、遺された飼い主の心を整理し、前を向くために必要な儀式です。それにより、悲嘆を現実のものとして受け止め、ペットとの関係性や気持ちに区切りをつけることができます。お金をかけなくても、自分が納得いく方法で構いません。また、最近は、ペットの毛をチャームにするサービスや、抜け毛を帽子にしたりする方たちも登場していますが、こうしたものを取り入れる“手元供養”も良い方法。手触りや見た目でペットを思い出し、寂しさをまぎらせることができます」
最後は「リラックスして過ごす」こと。「辛い喪失体験をしたのですから、無理をせず、心が落ち着くまで、ゆっくりリラックスして過ごしてください」
重症化を防ぐには「生前の関わり方」がカギ
ペットロスの重症化を防ぐには、“生前の関わり方”も重要なポイントになる。
「単頭飼育でペットとの接触時間が長い人は、過度な愛情を向けてしまいがち。打ち込める物事や対象をつくり、関心を分散させましょう。他者との繋がりがなく、承認欲求が満たされにくい環境にいる人も、深刻なペットロスにおちいりやすい傾向があるため、ほかの人とのつながりを築いておくことをおすすめします」
あらかじめ、飼い主の心のケアや交流に力を入れている動物病院をみつけて、かかりつけにしておくという手もある。こうしたペットロス対策を進めておくといいだろう。
日本初のペットロス専門カフェに潜入!
ペットを亡くした当事者同士が、つらい気持ちを共感しあうことは、ペットロスから立ち直るために有効な方法だ。しかし、同じような経験を持つ人と出会える場所がなかったり、話を聞いてもらえる人が周りにいないなど、実際は、ひとりでつらい気持ちを抱えざるを得ないケースは多い。そんななか、ペットロスに悩む人にとって注目のサービスが登場した。2019年2月、東京・原宿にオープンした日本初の「ペットロスカフェ」だ。いったいどんな場所なのか。実際に店を訪れてみた。
原宿駅から歩くこと10分。おしゃれな店が立ち並ぶ静かな一角にたたずむのが、ペットロスケア用品専門店「ディアペット」。地下1階には、ペットの仏壇仏具やジュエリーなどが販売され、1階がペットロスカフェのスペースとなっている。
▼ディアペット外観
▼カフェイメージ
▼カフェドリンク
▼カフェ虹の橋ボード