シンガポールを目指す日本人富裕層の姿
外務省の海外在留邦人数調査統計(2017年10月1日現在の集計)では、日本の領土外に在留する邦人(日本人)の総数は、135万1970人で、前年より1万3493人(約1%)の増加となり、統計を開始した昭和43年以降最多となりました。地域別では、北米が在留邦人全体の37%、アジアが約29%、西欧が約16%、国別では1位米国(約32%)、2位中国(約9.2%)、3位オーストラリア(約7.2%)、4位タイ(約5.4%)などですが、シンガポールも約2.7%(3万6423人)と、人口が少ない小さな国の割には非常に日本人の割合が高くなっています。
シンガポールにやってくる日本人富裕層の姿としては、ビジネスや投資などで成功をした人が多いです。最近の傾向としては、仮想通貨長者となった人たちがシンガポールに来るケースも増えています。20代30代など若くして億万長者になった方も多くいます。ちょうど子育て世代なので、子供の教育にも関心が高く、シンガポールのインターナショナルスクール(以下インター校)は富裕層に人気があります。
シンガポールにはインター校が20以上あって、日本のインター校並みの料金(年間250万円前後)なので富裕層にすれば支払える金額です。人気の理由として、間口の広さなどが挙げられます。最初は英語ができなくても受け入れてくれて英語力を磨いてくれる学校が多いのです。入学試験も日本の幼稚園や小学校受験と比べると比較的楽で、高校までエスカレーターなので学校にある程度お任せできます。名門校に行けばよい大学にも進学しやすいのです。学費を準備し、手続きをしっかりとすれば受け入れてくれるシンガポールのインター校は人気が高いのです。相変わらず母子留学も人気で、日本だけではなく中国など周辺アジアから来ている家庭も多いです。
富裕層の中にはプライベートバンクやヘッジファンドを使って資産運用をしていて、資産運用の利益で子供の学費をまかなっているという人たちもいます。プライベートバンクとは富裕層向けの銀行サービス。通常はプライベートバンカーという資産運用のプロフェッショナルが担当につき、顧客のニーズに合わせた金融商品をオーダーメイドで提供するのです。シンガポールには富裕層向けのプライベートバンクも20以上あり、日本人のバンカーもたくさん働いています。まさに、富裕層にとっては至れり尽くせりな国なのです。