イベントや夕食の準備を仕切らせる

子どもの年齢などから家族旅行はちょっと手に余るということなら、家族のイベント、たとえば誰かの誕生日パーティーやクリスマスの企画を任せるとか、フリーマーケットへの出店を仕切らせるということもできるでしょう。

もっと日常的には、週末に遊びに行く計画や、夕食の準備をリーダーとして仕切ってもらうという方法もあります。

特に料理は良い経験です。メニュー決め、材料のリストアップ、買い物などなど、やることが多いですし、料理の分担の指示(たとえば、「お父さんは人参を切ってね」「お姉ちゃんは玉ねぎを炒めてね」など)を仕切らせれば、段取り力の訓練にもなります。

学校では必ずしも自分の子がリーダー的な存在になれるとは限りませんし、基本は先生の仕切りですから、自分がイニシアチブをとって何かを成すという経験はなかなか積めません。それを家庭で補うのです。

一人旅や短期留学をさせる

責任感や自立心を養うには、子が一人で最初から最後まで完結するようなことを経験を積ませることです。自ら進んで動き、自分の意志で最後まで成し遂げる経験をさせることです。

効果的な方法のひとつが一人旅です。たとえば実家のおじいちゃんおばあちゃんの家まで一人で行かせるとか、子どもが「あそこに行きたい」と言い出したら一人で行かせてみましょう。

一人で旅をすれば、いろんなことが起こります。親と一緒では考えもしなかった経路の選択、切符の買い方、時刻表や路線図の見方などなど、自分で調べ判断しなければ目的地に着けないというプレシャーや不安に打ち勝たなければなりません。

あるいは、1日1本しかないバスを逃ししてしまったなど、想定外の事態にパニックになるかもしれない。それでも気を取り直して解決することで、ピンチを乗り越える精神力も培われます。

高校生ぐらいになれば、海外のサマーキャンプや短期留学に一人で参加させることです。スクールへの申し込み、ホストファミリーを探す、飛行機のチケットの手配などすべて本人に任せ、一人で行って一人で帰ってこさせる。

実際、東京の名門、武蔵学園では、海外研修の際に似たような方法をとっているそうですが、これでみな一回り大人になって帰ってくるそうです。

たとえば台風や地震などの災害で公共交通機関がマヒしたとき、首都圏のターミナル駅では、帰宅困難者がたくさんへたり込んでいる光景がニュースで報道されることあります。大人でもどうしていいかわからなくなったり、アタフタしたりして対応力を失ってしまう人がいます。

しかし大切なのは、そこで思考停止するのではなく、それこそ次々と飛行機が発着する状況を統制する航空管制システムのように、目の前の状況に合わせて自分がやるべきこと、できることを冷静に峻別できる精神力が必要です。

それにはやはり、親の支援が受けられない環境や想定外の出来事が起こる環境に身を置くことにより、自分一人でなんとかしなければならない経験をすることです。

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